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あんぱん捕物帳*序章 ページ35

ちょうど、正午に差し掛かるくらいの時刻、
買い物を終えて帰宅途中の私たち凸凹コンビに、

「こんにちは」
と声をかけて来たのは、今回の監視(場合によっては護衛)対象の、楢崎幸だった。

基本、張り込み調査中は監視対象との接触は避けるべきである。

どこで自分の素性や情報が漏れるか、わからないからだ。

でもまさか、向こうから接触してくるとは。

『あっ、こんにちは』

「最近この辺りでよくお見かけするから、もしかしてご近所さんなのかと思って」

つい、声をかけてしまいました。

と彼女は微笑んだ。

「私はここで居酒屋を営んでおります。楢崎幸と申します」

そう言って自分のお店を振り返り、自己紹介をしてくれる。

こうして見るとやはり、気立ての良い娘といった感じで、悪意とかそういったものとは無縁に見える。

『えっと…数週間前に、向かいのアパートに引っ越してきまして…』

「ああ、やっぱり。あの騒がしい…」

と言いかけて、ハッとしたように目の前の彼女は口を抑えた。

ああほら騒がしいって思われてたよ…

『すみません…お向かいさんにまで迷惑を…』

主にお前のせいだぞ!?と私は横に居る万斉を睨む。

「お2人は恋人同士なんですか?」

そう言って楢崎幸は私と万斉を見比べる。
万斉を見つめる顔が若干色めき立っているのは、気のせいだと思いたい。

『は!?』

「よく一緒にお買い物に行ってるのをお見かけするので…」

と頬に手を当てて首をかしげる彼女に、

「そうでござr」
『ただのお隣さんですっ』

私は即答した。

普通の人はただのお隣さん(男)と一緒に買い物に行ったりしないだろう。

多分。知らんけど。

ああほら、彼女もキョトンとした顔してるし。

『すみません失礼しますっ』

「彼女、恥ずかしがり屋なんでござるよ」

「は、はぁ…」

オイ余計なこと言ってんじゃねェェェ!!

私は万斉の腕を引っ掴んで、ボロアパートへと急ぎ足で向かった。

「今度、良かったらお2人で私の居酒屋に来てくださいな」

後ろからそんな言葉をかけられて、私は彼女を振り返る。

ニッコリ微笑んで手を振っている彼女は、やっぱり凶悪犯の姉には見えなかった。

あ、私たち自己紹介し忘れたな…

まあ、これ以上、監視対象の人物と関わるのはあまり宜しくないし、コチラの情報を与える必要もないから…良しとしよう。

あんぱん捕物帳*其ノ一→←ぶっちゃけあんぱんってそんなに好きじゃないしあんまんのほうが好き



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ひゅーまん - 山崎退は出てこないんですか? (3月31日 19時) (レス) @page10 id: 5c08d5ef79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めぐりずむ | 作成日時:2021年7月21日 17時

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