キスの日ですってよ奥さん�� ページ10
万斉の胸を叩いて抗議すると、一瞬だけ唇が離れた。
『ば、んさい…っ…人、が……』
その隙に、人が来たからと囁いてストップをかける。
なのに、「…確かに、お主のこの顔を他の男には見せたくはないな」とか言って頬と唇を撫でられて、また口を塞がれた。
『〜〜っ！！』
違うそうじゃない！！という私の訴えは声にならなかった。
頭を押さえられ先程よりも激しく口内を蹂躙されて、もう軽くパニックである。
路地裏に足を踏み入れようとした人たちは、私たちの様子を見て慌てて踵を返したらしい。
見られた…！！なんて考える余裕はもうなかった。
舌で上顎をなぞられて、腰が砕けそうになるのを必死に耐えたところで、やっと深いキスから解放される。
『ん……ふぁ…』
やけに甘ったるい声が出て、私は羞恥心やらなんやらで涙目になりながら万斉にもたれかかった。
だってこんな…情事の前にするキスみたいな……っ…
一方の万斉は、満足そうに私の頭を撫でて「可愛い」とか「このまま連れて帰りたいでござるな」とか呟いている。
とりあえず、言いたいことは沢山ある。でも──
『ば……』
「ば？」
『ば、バッカじゃないの！？このっ……調子に乗んなバカ！！へんたいっ』
──呼吸を整えて、やっと叫んだ言葉がそれだった。
「A殿、語彙力が…」
「それに、気持ち良さそうにしてたでござるよ？」なんて言われて、余計に恥ずかしくなった。穴があったら入りたい。
『うるせーー！！鱚の天ぷらでも食ってろバカヤロー！！』
更にそう叫ぶと、目の前の万斉の腹にパンチをお見舞いしてやる。
混乱してて、自分でも何言ってんのかよくわからない。
「ゔっ……み、鳩尾に入ったでござる……」
万斉がお腹を押さえて蹲っていたけど、知るもんか。
『自業自得だバーカ！！』
さっきから同じ罵倒の言葉しか出てこないし、ホント語彙力どこ行ったんだ自分！？
あーもう…頬熱い……絶対今、顔真っ赤だ……
とりあえず、これ以上何もされないうちに…と、私はその場から走って逃げ出したのだった。
キスの日？？
そんなもん終わりだよチクショー！！
終わり
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ひろおか唯 - 終わりかよ (1月12日 20時) (
レス) @page10 id: 4e412208c6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 小説読ませて頂いております。私も筆をとる身なのですが,作者様のようにギャグを織り交ぜながらというのが出来なくて四苦八苦しております。更新待ってます！ (2023年3月24日 23時) (レス) @page10 id: 56c8cc4ff3 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 小説読ませてもらっています！更新待ってます！！ (2022年4月9日 1時) (レス) @page6 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
くまパンダ隊長 - 万斉さんカッコいい！私、万斉推しなんすよ！ (2022年3月28日 14時) (レス) @page6 id: cad4247964 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2022年1月27日 14時
