【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ28)

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冬至にクリスマスに大掃除⑫ ページ28

次に訪れた噴水前広場は、あちこちでカップルたちが寄り添って20分おきに水が上がる噴水を眺めていた。

『噴水に色がついてる！』
水までイルミネーションの一部にしちゃうなんて、すごいなぁ～

と感嘆しているAの肩を、鬼灯が優しく抱き寄せた。

「寒くないですか」

『うん、平気。八寒に比べたらそこまで寒くないし』

微笑んで言われた言葉に、呆れたように返す。

「…あそこと比べないで下さいよ」
常にマイナス何十度の場所ですよ？極寒…というか、摩訶鉢特摩とか南極よりも寒いですからね絶対。

『ふふっ、確かに』

Aはそう言うと、隣の鬼灯にギュッとくっついた。

『それに、こうやって鬼灯君にくっついてれば暖かいから』

へにゃっと笑った彼女を見て、胸を押さえてよろめき…はしなかったものの、彼的には

"こうかはばつぐんだ！"

といった感じだった。

「…貴女、私がポケモンだったら今ので瀕死状態ですよ」

『何で突然ポケモン！？しかもトレーナーじゃないの！？』
ああでも鬼灯君、育てるの上手そう…伝説のポケモンとか普通に連れてそうだもん。

なんて少し場違いなことを思って、Aはくすりと微笑んだ。

噴水ショーを見終えて、2人はまた歩き出す。
といっても、展示されているイルミネーションもそろそろ終盤なのだけれど。

「せっかくですし、最後に観覧車に乗りませんか？」
遊園地のイルミネーションが一望できるみたいですよ。

『うん！』

鬼灯の提案に、Aは目を輝かせて頷いた。
夜に来たから乗り物には乗らないと思っていたので、尚更嬉しかったのだ。

『観覧車なんて乗るの久しぶりかも』
世界で初めてこれを設計しようって思った人、すごいよね～

ライトアップされている観覧車を見上げながら、Aは呟いた。

「では今度、透明のゴンドラがある観覧車乗りに行きましょうか。床も椅子も透明で、スリルが味わえるらしいですよ」

透明なゴンドラに乗る気満々の鬼灯を見て、

『えっと…それは遠慮しておこうかな…』と、引きつった笑みを浮かべる。

『(嬉々として乗ってる鬼灯君が目に浮かぶなぁ…あ、でもその様子はちょっと見たいかもしれない)』

観覧車乗り場のスタッフに案内されながら、Aはそんなことを思った。