【銀魂】真選組監察方の紅一点番外編 (ページ45)

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その⑯ ページ45

歩き出してしばらくして──

とりあえずあの場から離れることしか頭になくて、どこ行くか考えてなかったな…と、私は若干後悔していた。

公園から出たのは良いけど…こんな格好だと周囲の人の目線が痛い。
いい歳した大人が魔女と死神の仮装してるんだから、当たり前か。

ちなみに鎌は邪魔だったらしく、分解してローブの中に収納していた。便利だなオイ。

そのままあてもなく歩いていると、後ろをついて来ている万斉に声をかけられる。

「…A殿」

『んー？』

「その格好、似合ってるでござるよ」

先程、言いそびれたのでな。
と、突然そんなことを言われて、私は足を止めて彼を振り返った。

『……素直に喜べない…』

だって魔女で猫耳だよ？

「何故？可愛いでござるよ。このままデートでも良いくらいでござる」

『このまま！？』

いくらなんでもそれは、恥ずかしいので勘弁願いたい。
完全にハロウィンで浮かれたカップルじゃん…

「デート自体は良いんでござるね」

と嬉しそうに言われて、ため息をつく。

確かにダメとは言わなかった。でも…

『……私、これでも仕事中だったんだけど…』

まあ、仮装してお菓子配りって、仕事というべきか微妙なところだけどさ。

人目を気にして歩いていたせいか、いつの間にか人気のない場所に来てしまった。
万斉の視線を感じて、慌てて首を横に振る。

違う違う！！そういうつもりじゃないんだってホント！！

「A殿、」

『な、何？』

素知らぬ顔をして首を傾げると、万斉が目の前に手を差し出して来た。

「Trick or Treatでござる」

『……さっきお菓子あげたでしょ』

飴も(私が口に突っ込んだんだけど)食べてたし。
無論、悪戯は却下だ。チョコなら持ってるけど…

「拙者、お菓子よりもA殿が欲し…『あーはいはい！そういうのは後にしてっ』

チョコを渡そうとしたら何だか恥ずかしいことを言ってきたので、私は彼の言葉を遮って叫んだ。

「……後ならいいんでござるね」

『そ、そういう意味じゃなっ…！！？』

慌てて否定しようとして、その言葉ごと唇を塞がれる。

ほんの一瞬、短いキスだったけれど、何をされたのか理解するには十分だった。