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「ああ、その人。私達の上司だった人よ。」
昨日自室で見た写真の人物は誰か。
書類作業の傍ら、Aさんの手が止まったタイミングで聞いてみると返事がそれだった。
cn「大先生現在どころか昔の事まで忘れとん？いよいよヤバいな。」
ut「やかましいねん。俺かて忘れたくて忘れたんちゃうわ。」
むかつく事に今日はチーノも部屋におる。
近いうちに行われる別部隊との合同訓練に向けた打ち合わせの為とはいえ、手より口の方が動くコイツのお陰で随分と賑やかだ。
ut「むっちゃ綺麗な人やね。あ、Aさんも美人やけど。」
「ふふっ、お礼言ったほうが良い？先輩は美人なだけじゃなくて仕事も凄く出来たのよ。」
私の憧れの人なの。
Aさんの話を聞きながら手元の写真に目を落とす。
成る程、写真の女の笑顔と今のAさんの笑顔が何処となく似ているのは、彼女が真似をしているからなのかも知れんな。
cn「その人俺が前おった隊でも有名やったわぁ。ムサい男しかおらんかったし。」
「あーシッマのとこは最前線の部隊だしね。」
ut「なんそれそれ程の美人忘れたとか俺むっちゃ損してるやん。」
「大先生めちゃくちゃ懐いてたよ。雛鳥かって位後ろついて歩いてたなぁ。」
待って雛鳥な俺も想像出来んけど、他でもない俺が女にそれくらい傾倒してた事に驚きやわ。
1人泡を食った俺を他所に続いた会話に、更に驚きが降ってきた。
cn「ほんと、惜しい人を亡くしましたよね。」
「ええ…もっと色んな話をしたかったわ。」
ut「えっ亡くなったん？」
「殉職。最期まで戦場で立派に働いて下さったわ。」
ああ、それは確かに惜しい。
聞き齧った話だけでも人望の厚さが窺えるし、きっと恋人なんかもいただろうに。
「…さあさあ！2人ともすっかり手が止まっちゃってるよ。やらないといけない事まだあるんだから作業に戻りましょう。」
室内の雰囲気が少し沈んだ事をいち早く感じ取ったAさんが手を叩く。
パンッと乾いた音が1つ鳴って、部屋の空気を払拭していった。
cn「Aさん、ここの配置どうします？」
「ああそれ、新人くんには先輩と組んでもらいたいから______。」
何事もなかったように目の前の2人は作業に戻り、なんだか僕だけ置いていかれた気分になる。
写真の中で美しく微笑む先輩とやらにもう一度目をやる。
なあ、あんた昔の俺ら知っとんやろ。
教えてほしいわ。昔の事。……俺らの事。
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すみれいん(プロフ) - 「かぎかっこ」さん» これからも展開がどうなるのかワクワクハラハラしながら読みたいと思います！ (2020年5月23日 21時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
「かぎかっこ」(プロフ) - すみれいんさん» コメントありがとうございます！視点を隠しながら文章書いてみたかったので考察して頂けるの嬉しいです。"先輩"が結構出張りますが、これからもお楽しみに！ (2020年5月21日 16時) (レス) id: af5934532f (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - ？？？sideと言ったら良いのでしょうか…亡くなってる…え…待って…この？？？sideって…と予想を付けながら現実？になって欲しくないとも思いながら、更新を楽しみに読ませていただいてます。 (2020年5月17日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：「かぎかっこ」 | 作成日時：2020年5月11日 13時
