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とは言え、自分の知らない人間と仕事をするというのはなかなかストレスが溜まる。
僕に限って言うならば、向こうは僕の事を知ってるのにその事を此方が忘れてしまっている分気まずさ上乗せだ。
この出来た副官は間違いなく自分の部下なのだろう。
しんぺいさんから聞いた話では、僕が医務室で寝ている間、彼女は毎日のように部屋まで訪ねに来ていたらしい。
忙しい彼女は容体だけ聞いてすぐに仕事に戻っていくそうだが、偶に時間のある時はベッドそばまで行って花を生けたりしてたんだとか。
いやぁ、僕って部下から愛されてるんやな、なんて。
トントンに言った手前アレだが、自惚れが過ぎるだろうか。
「大先生？何か分からない事でもありました？」
ut「ああすまん。ちょっとボーッとしてもうてたわ。」
「？ならいいけど。」
2人しかいない執務室は、こうやってどちらかが話しかけないと静かすぎて落ち着かない。
Aさんが書類に目を通してるのをいい事にそわそわ辺りを見渡していると、自分のデスクのペン立てに知らない万年筆を見つけた。
手にとってしげしげと眺める。
あんまり万年筆のブランドに明るくない僕でも知ってる有名なメーカーのそれは、クリップの先に青い石が埋め込まれている。
以前の僕はよく手入れしていたのだろう。
他の万年筆と比べて、それだけ明らかにペン先の汚れが見当たらない。
使えれば何でも良い主義の自分が、珍しいなと思った。
「それ、何の石かわかります？」
唐突に聞こえて来た声にビクッと背筋が伸びる。
拙い、サボってると思われただろうか。
ut「いや、分からんなぁ。Aさん知っとるん？」
「ラピスラズリよ。聖業って意味があるの。この仕事にぴったりじゃない？」
ut「はえー物知りやなぁ。もしかしてこのペン、Aさんがくれたん？」
「……まあそんな所かな。さて、司令官殿は集中力が切れたと見えますので、珈琲とお菓子でも持って参りますね。」
カタリと席を立った彼女の姿がドアの先に消える。
部屋に先程までの静けさが再び訪れ、なんとなく寂しさを感じた僕は無意識に独り言を吐いた。
ut「…はぁ、ほんま良く出来た副官様やなぁ…。」
美人だし、気配りも出来る。
あの子はきっと人気者だろう。
…それにしても。
先程の一瞬の間と、その時の彼女の表情に若干違和感を覚えた。
一体アレは何だったのだろうか。
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すみれいん(プロフ) - 「かぎかっこ」さん» これからも展開がどうなるのかワクワクハラハラしながら読みたいと思います！ (2020年5月23日 21時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
「かぎかっこ」(プロフ) - すみれいんさん» コメントありがとうございます！視点を隠しながら文章書いてみたかったので考察して頂けるの嬉しいです。"先輩"が結構出張りますが、これからもお楽しみに！ (2020年5月21日 16時) (レス) id: af5934532f (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - ？？？sideと言ったら良いのでしょうか…亡くなってる…え…待って…この？？？sideって…と予想を付けながら現実？になって欲しくないとも思いながら、更新を楽しみに読ませていただいてます。 (2020年5月17日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：「かぎかっこ」 | 作成日時：2020年5月11日 13時
