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薄い意識の淵で感じる手の温もり

頬、おでこ、肩、首筋‥

フラフラと色んな場所を行き交った後、また私の手を包む


夢現の中、手を繋がれてる事だけはわかった


眠気から抜け出せず、閉じそうな瞼をムリヤリ引き上げたら


ジホ【‥はよ】


歪む視界の中に柔らかく微笑むジホがいて、一気に意識が覚醒した


私【ぉ‥はよ】

ジホ【‥帰ったかと思ってた】

私【鍵‥が、鞄の中で‥】


私を見下ろすジホは《人質成功じゃん(笑)》なんてふざけた事を言いながら笑った


私【あ、の‥】

ジホ【昨日の続き‥してイイ?】


《どいて》って言おうとしたのに遮られて

真顔のジホに見つめられたら、昨日の気まずさが舞い戻ってくる


ジホ【好き‥Aの事】


予想はしてたけど、まさか直球で来ると思わなくて言葉が出てこない

息をするのも忘れて、ドクドクと大きな音をたてる鼓動だけを感じる


頭が真っ白のまま固まってたら

ジホが絡めた指で緩く私の手の平を撫でた


私【あ、ありがと‥わ、私もジホの事好きだよ?大切な、幼馴染み‥でしょ?】


わざとらしく《幼馴染み》と口にしたのは渾身の悪足掻き


ジホ【‥そっか】


フッと浅く息を吐きベットに座り直したジホに指先から血の気が引いた


私【な、何!?どうしたの?昨日飲み過ぎて‥】

ジホ【A】


低い声で話し出したジホは誤魔化すのも取り繕うのも許してくれない


ジホ【時間が必要‥たぶん俺にも、Aにも】


部屋中の音が消え去って、ジホの言葉だけが鼓膜に響いた


思わず起き上がると避ける様に立ち上がったジホは私に背を向けた


ジホ【‥ごめんな?最期までソウルメイトでいてやれなくて(苦笑)】


重い沈黙が流れる中、向き直ったジホは私の頭に手を乗せ申し訳なさそうに謝る


私【あ‥】

ジホ【仕事だから!!‥そろそろ帰って】


言い訳すらさせてくれず

ジホは全てを拒む様に足早にバスルームへ消えてった


これが現実だなんて思えない私は

シャワーの流れる音に気付いて

放心状態のまま鞄を手に部屋を出た




トボトボ歩いてたらドンドン視界が滲んで

堰を切ったみたいに涙が溢れだす

嗚咽を堪えながら、ジホの隣で初めて泣いた日を思い出してた



オンマも女だと知った日

ジホは私を泣かせてくれた


あの日から1人で泣いた事は1度もない

悲しい時はいつも隣にジホがいた

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作者名:gyuuuu x他1人 | 作成日時:2015年4月3日 21時

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