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ところ変わって空の上。派手な着物に着せ替えられて、妙は例の天人と向かい合っていた。
「お妙でございます。可愛がってくださいまし。」
「だから違うゆーとるやろ!そこでもっと胸の谷間を強調じゃボケッ!!」
「胸の谷間なんて18年生きてきて一度もできたことないわよ」
「あ、スマン。やりたくてもでけへんかったんかイ」
妙が天人に仕込まれている間、別室に連れてこられた雅はというと着替えもせずに船を徘徊していた。
(お妙ちゃんはどこに・・・?)
雅がある戸の前を通りかかった時、中から妙の悲鳴が聞こえた。
「お妙ちゃん!!」
急いで戸を開けてみれば天人が妙を押し倒していた。雅は懐から短刀を取り出すと、天人に切っ先を向け、妙の肩を抱いて1歩ずつ距離を取った。
「な、何しとんじゃ!!」
するとそこへ1台のパトカーが船に向かって突っ込んできて、その衝撃で天人は飛ばされた。
「アカンでコレ、パトカーやん!役人が嗅ぎつけて来よったか!!」
「安心しなァ、コイツはただのレンタカーだ」
パトカーに乗っていたのは銀時と新八だった。
「銀時、遅いよ」
「糖分補給は大事なんだよ」
「姉上ェ!まだパンツははいてますか!」
雅は着物をパンと叩いて立ち上がる。新八は先程の別れの時とは打って変わって凛々しい顔つきで船の中を見回している。
「新八お前、こんな真似さらして道場タダですまんで!!」
「道場なんで知ったこっちゃないね。俺は姉上がいつも笑ってる道場が好きなんだ!姉上の泣き顔見るくらいなら、あんな道場いらない!!」
「新ちゃん・・・」
「ボケがァァ!たった二人で何ができるゆーてんねん!いてもうたらァ!!」
「オイ、俺がひきつけといてやるからてめーは脱出ポッドでも探して逃げろ」
「あんたは!?」
「てめーは姉ちゃん護る事だけ考えろ。雅も連れてけ。
俺は俺の護りてェもん護る」
「行くよ、新八君」
呆然と立ち尽くす新八と妙を連れて雅は部屋を飛び出した。後ろを振り返る新八の目には、敵を次々と倒していく銀時の姿が映っていた。
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時