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「いやあのホント・・・スンマセンでした」
「ゴメンで済んだらこの世に切腹なんて存在しないわ」
「安心して。ラクーに逝けるように私が介錯してやるから」
雅は自分ひとりだけ置いていかれそうになった事に腹を立てて、銀時の木刀を手にその後ろに立っている。
既に妙の仕業により頬を腫らした銀時を囲む女ふたりに新八は内心怯えていた。
(木刀で介錯って何?苦しませる気しかねーだろーが)
妙は廃刀令の煽りで門下生のいなくなった実家の道場、恒道館道場を維持するために姉弟2人で働いていたことを語った。
「それでも父の遺していったこの道場を守ろうと、今まで二人で必死に頑張って来たのに・・・お前のせいで全部パーじゃボケェェェ!!」
「落ち着けェェ!!姉上!」
「新八君!君のお姉さんゴリラにでも育てられたの!待て待て待ておちつけェェ!!」
「本当にすみません!!あの、良かったらコレを。」
雅は90度に体を折り曲げると、新八に抑えられている妙に向かい手を差し出した。
「帯留め??」
「はした金にしかならないですが・・・」
そう言いつつ雅の手には明らかに高価な帯留めがあった。
「雅さん、良いんですよそんなの。この借りはきっちり、この男に返してもらいますから」
数分後。銀時は両頬をパンパンに腫らして倒れていた。
「姉上・・・やっぱりこんな時代に剣術道場やってくのなんて土台無理なんだよ。この先剣が復興することなんてもうないよ。こんな道場必死に守ったって僕らなにも・・・」
「損得なんて関係ないわよ。親が大事にしていたものを子が護るのに、理由なんているの?」
「でも姉上!!父上が僕らに何をしてくれたって・・・」
ドカン!と派手な音を立てて道場の戸が倒れた。入って来たのは眼鏡をかけたキノコ頭の天人、3人組だった。
「今日という今日はキッチリ金返して貰うで〜!ワシもう我慢でけへんもん!!イライラしてんねもん!」
「オーイ借金か?オメーらガキのくせにデンジャラスな世渡りしてんな」
「僕らがつくったんじゃない!父上が・・・」
「新ちゃん!」
「金払えん時はこの道場売り飛ばす約束したよな!あの約束守ってもらおか!!」
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時