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噂をすればなんとやら。銀時の木刀を片手にバイトの少年が追いかけてきた。
「律儀な子だな。木刀返しに来てくれたの。いいよ、あげちゃう。どうせ修学旅行で浮かれて買ったやつだし。」
「違うわァァ!役人からやっとこさ逃げてきたんだよ!!違うって言ってんのに侍の話なんか誰も聞きゃしないんだ!しまいには店長まで僕が下手人だって」
「切られたなそりゃ。レジも打てねェ店員なんて炒飯作れねェ母ちゃんくらいいらねーもんな」
「アンタ母親をなんだと思ってんだ!!」
(というかなんでこの子走って着いてこれるの?)
雅がそんなことを考えていれば、突然の急ブレーキで思わず銀時にしがみついた。
少年はというと、急ブレーキを踏んだスクーターの後ろに丁度よく○的されて地面にころがっていた。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
スクーターから降りて新八に手を差し出せば、彼はおずおずとその手を取った。
「あ、ありがとうございま・・・」
(え?こんな人存在するの?もはや女神っていうか仙女っていうか・・・)
「あら?新ちゃん?」
スクーターがとまった大江戸ストアから楚々とした女性──志村妙が出てくると、さっきまで赤くしていた顔を真っ青にした。
「こんな所で何をやっているの?お仕事は?」
「げっ!!姉上!」
「仕事もせんと何プラプラしとんじゃワレボケェェェ!!」
「ぐふゥ!!」
綺麗な笑顔から一転、妙は新八に華麗な飛び蹴りを決めて見せた。
「今月どれだけピンチか分かってんのかてめーは!コラァ!!アンタのチンカスみたいな給料もウチには必要なんだよ!!」
「まっ・・・待ってェ姉上!こんな事になったのはあの男のせいで・・・あ"ー!!待てオイ!!」
銀時は自分だけスクーターに跨り、雅を置いて1人で逃げ出そうとしていた。
「ワリィ、俺夕方からのドラマの再放送が見たいか・・・ら」
清々しい顔で銀時が後ろを振り返った時、後ろには笑顔の妙が乗っていた。
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時