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「でも、彼女はなんでわざわざこんな天人しか居ないところに・・・」
「知らねーよ。アホらしくてやってられるか。ハム買って帰りゃあのオッサンもごまかせるだろ」
「ごまかせるわけねーだろ!アンタらどれだけハムでひっぱるつもりだ!!」
雅はこの店に居心地の悪さを感じていた。なんとなく様子のおかしい天人がちらほら見受けられるのだ。
「ワリーけど二日酔いで調子ワリーんだよ。雅、ちょっと肩貸してくれるか。」
「はいはい。トイレね。・・・ごめんね新八。神楽を頼んだよ」
「え?ちょっと・・・!」
銀時がトイレに入って行くのを見届けると、雅は踵を返して歩き出した。しかしその途中、憔悴しきったハム子、基公子が男子トイレに入っていったのだ。
(どうして男子トイレに?しかもあの様子・・・)
雅は男子トイレの死角に立って様子を伺った。中からは公子の金切り声が聞こえてくる。
「早く・・・いつものちょうだいって言ってんじゃん!アレがないと私もうダメなの!!」
(いつものアレって・・・まさか、麻薬?)
どうやら事態は夜遊びだとか男遊びだとか、そんなにかわいいものじゃないらしい。
すると今度は天人の集団が男子トイレに入っていくのが見えた。あれが麻薬を売りさばいているやつらだろう。
これはまずい、と一歩踏み出した時。天人のひとりに腕を掴まれた。
「何をしている?」
(しまった・・・!)
「陀絡さん。怪しい女を見つけました。」
「近頃嗅ぎ回ってたやつらの一味でしょう。」
後ろ手に組まされ男子トイレに連れて行かれる。そこには血を流して倒れる公子と、トイレから飛び出してきた銀時がいた。
「雅ッ!」
「ごめん、銀時。」
「陀絡さん、どーします?ちょっと聞いてますか?」
陀絡と呼ばれるこの集団のボスらしき天人は、水道で服をゴシゴシと洗っていた。
「チクショとれねェ。どーしてくれんだ。おろしたてだぞこの服。汚ェメス豚の血がよォ、ベットリついて取れねェよ!!」
「陀絡さんってば聞いてます?」
「身だしなみ整えてるときは話しかけんじゃねーっつっただろうが!!」
どうやら陀絡はかなりの潔癖症らしい。話しかけた部下を蹴り飛ばす程だ。
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時