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「楽しそーだなオイ」
定春との遊びに一段落ついた神楽は、ベンチに腰を下ろした。その表情は満足気である。
「ウン。私動物好きネ。女の子はみんなカワイイ物好きヨ。そこに理由イラナイ」
「・・・アレカワイイか?」
「カワイイヨ!だって動物にこんなに懐かれたの初めて」
そう言って笑顔でベンチに座る神楽に定春が襲いかかる。
定春の態度は誰に対しても変わらない。つまり、特別誰かに懐いている訳では無いのだ。
「私、昔ペット飼ってたそとアル。定春一号。ごっさ可愛かった定春一号。私もごっさ可愛がったネ。
定春一号外で飼ってたんだけど、ある日私どーしても一緒に寝たくて、親に内緒で抱いて眠ったネ。
そしたら思いの他寝苦しくて、悪夢見たヨ。散々うなされて起きたら定春・・・カッチコッチなってたアル」
(泣けばいいのか笑えばいいのかわかんないんだけど・・・)
「あれから私、動物に触れるの自ら禁じたネ。力のコントロール下手な私じゃ、みんな不幸にしてしまう。
でも、この定春なら私とでもつり合いが取れるかもしれない・・・コレ神様のプレゼントアル。きっと・・・」
夜兎の力では、どんな動物も満足に抱きしめることも出来なかっただろう。
「あ、酢昆布切れてるの忘れてたネ。ちょっと買ってくるヨ。定春のことヨロシクアル」
「オイ!ちょっとま・・・」
銀時が呼びかけるも、もう神楽の背中は遠い。3人と1匹はその場に取り残された。
「ぎゃああああああ!!」
まだまだ元気が有り余っている定春に追いかけられる3人。ついに道路に飛び出した時、運悪く車に轢かれてしまった。
車に乗っていたのはハタ皇子。皇子は定春を車に括り付けると、そのまま発車した。
雅と銀時は何とか車にしがみつくも、車は止まらない。そこへ酢昆布を買い終えた神楽が、定春を取り返すために車を川へ投げ落とした。
「定春ぅぅぅぅ!!」
「お嬢さん。何がそんなにかなしいんだィ」
定春も一緒に川に落ちてしまったと思っていた神楽は、木の上に定春と銀時、雅が座っているのを見つけると、嬉しそうに声を上げた。
「銀ちゃん!雅!」
「定春、飼ってもいいアルか!?」
「オメーの給料からそいつのエサ代キッチリ引いとくからな」
神楽は定春をぎゅっと抱きしめた。定春はそんな神楽の頭を噛んだ。
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時