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「それだけか?」
「(笑)と書いてあります。」
銀時は新八から手紙を奪い取ると、紙を粉々にした。
「笑えるかァァァ!!(怒)要するに捨ててっただけじゃねーか!万事屋つったってな、ボランティアじゃないんだよ!捨ててこい!ぺぺぺペイッ!」
「嫌アル!こんな優しさの欠片もないような街にほっぽっといたら、死んでしまうヨ!」
「大丈夫だよ、オメー。定春なら1人でやって行けるさ。」
「アンタ定春の何を知ってんの!!」
「捨てるなんて・・・飼わないにしても、せめて他の飼い主が見つかるまでは置いておいてあげたほうがいいんじゃない?」
「定春は強い子だから大丈夫だ。な?定春・・・」
銀時が定春にそう問いかけると、銀髪のもじゃもじゃが定春の口に消え、くぐもった声だけが響いた。
「定春ぅ〜!こっち来るアルよ〜!!」
只今、雅は公園のベンチに座って神楽と定春のじゃれあいを見守っていた。
「いや〜スッカリ懐いちゃって、ほほえましい限りだね、新八君。雅ちゃん。」
「そーっスね。女の子にはやっぱり大きな犬が似合いますよ。銀さん。」
「ふふ。楽しそうね」
頭が包帯でぐるぐる巻きの男たち、坂田銀時と志村新八は生気を失った目で、花のように微笑む雅を見た。
「僕らにはなんで懐かないんだろうか。新八君。」
「何とか捨てようとしているのが野生のカンでわかるんですよ。銀さん。」
「なんでアイツには懐くんだろうな。新八君。」
「なついてはいませんよ、銀さん。襲われてるけどものともしてないんですよ」
「なるほど。そーなのか新八君。」
「ふふ。元気いっぱいね」
3人の目には定春を片手で止める神楽の姿が映っていた。雅はそんな2人(1人と1匹)を終始笑顔で見つめていた。
「やっぱり子供はああやって元気いっぱいに遊ばなくちゃ。」
「雅さんまるで母なんですけど。凄く優しい瞳なんですけど。」
「雅は年の離れた弟の面倒見てたからな。」
雅は現在26歳。弟は8歳年下の18歳である。母を早くに亡くしたため、姉である雅が良く面倒を見ていたのだ。
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時