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新八と雅は、掃除をしながらお使いに行った神楽を待っていた。
社長である銀時は、今日もジャンプを読みながら寝てしまい、新八が話しかけてもいびきしか帰ってこない始末だ。
「ただいまヨ〜」
「おかえり。神楽」
「雅!」
雅が手を止めて神楽を出迎える。神楽は走って雅に飛びついた。
「トイレットペーパー買ってきてくれた?」
「はいヨ。」
「神楽ちゃん。あのさァ、普通何ロールか入ってるやつ買ってくるんじゃないの?これじゃ誰かお腹壊したら対応しきれないよ。」
神楽にはトイレットペーパーを買ってきて欲しいと頼んだのだ。しかし買ってきたのは1ロール。新八のこめかみに青筋が立つ。
「便所紙ぐらいでガタガタうるさいアル!姑か?お前。世の中には新聞紙をトイレットペーパーと呼んで暮らす貧しい侍だっているアル。」
「そんな過激派いないよ!誰に聞いたの?」
「銀ちゃんが言ってたヨ。」
「ダメだよあの人の言うこと信じちゃ。」
「うるせーな・・・」
起き上がった銀時は息を飲んだ。雅に抱きつく神楽と新八が喧嘩しているその背後に、2人よりも大きな白い犬がいたのだ。
(お、俺の幻覚か・・・?)
何度も目を擦ってみても景色は変わらない。恐る恐る銀時は口を開いた。
「雅。新八。その白いのなんだ?」
「何って、トイレットペーパーだけど。」
「そうじゃなくて、デカい方。」
「デカい方とか小さい方とか、下ネタはやめてくださいよ。大体、いつも銀さんがそういうこと言うから、神楽ちゃんも・・・雅さん?」
雅が新八の肩を叩いて指を指す。何事かと思いみてみれば、新八の視界にデカい方が映った。
「なァァァァ!!何コレェェェ!!」
「表に落ちてたアル。可愛いでしょ」
「落ちてたじゃねーよ。お前拾ってくんなら、せめて名称の分かるもん拾ってこいや。」
「一応、犬なんじゃ・・・?」
「定春。」
「今つけたろォ!明らかに今つけたろォォ!!」
「コレ、首輪に挟まってたヨ。」
神楽が「万事屋さんへ」と書かれた紙を取り出す。そこにはペットを貰ってください、とだけ書いてあった。
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時