浮世は風【銀魂】 (ページ31)

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銀時が土方の剣を折った。片方の得物が使えなくなったため、2人の闘いは終わった。

(銀時の肩から血が･･･)

雅はすっと立ち上がると、沖田の方に向き直る。一礼してその場を立ち去ろうとした時、沖田が口を開いた。

「あの旦那、一体何者ですかィ」

「ただの万事屋の社長ですよ。あなたも、なにか困った事があれば何時でもいらしてくださいね。」

雅はそう言うと、銀時を追いかけて走っていった。
雅が居なくなると、代わりのように近藤が沖田の横に現れた。

「万事屋ねェ･･･俺も一戦交えたくなりやしたぜ。」

「やめとけ、総悟。お前でもキツイぞ。」

「近藤さんが取り合った女って、さっきの人じゃないんですかィ？随分いい女だったもんで、俺ァてっきりあの人かと。」

「いいや。俺が取り合ったのは、まるで菩薩のような器の広さの美人だ。」

「銀時！肩、大丈夫？」

「大丈夫じゃねーよ。ちょっと、包帯巻いてくれるか？」

「う、うん。」

家事全般や裁縫、琴や舞などなんでもござれな雅だが(花嫁修業の過程で習得した)、包帯を巻くのだけはどうにも苦手だった。

傷口を見ると痛みが伝わってくるように感じるのだ。自分の血は平気だが、他人の血を見るとどうしても悪い方向へと思考が進んでしまう。

雅の震える手に気がついた銀時は、雅が包帯を巻くのが苦手なことを思い出した。

「大丈夫だ。俺ァこんなんじゃ死なねーよ。お前も知ってるだろ？」

銀時が雅の手を優しく取る。雅の瞳は不安げに揺れていた。

「うん。分かってる。久しぶりでちょっと緊張しただけなの。」

雅は自分に言い聞かせるようにそう呟くと、今度はしっかりとした手つきで銀時に包帯を巻いたのだった。