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「時に貴様、先程からお妙さんと親しげに話しているが、一体どういう関係だ?羨ましいこと山の如しだ!」
「許嫁です。私、この人と秋に結婚するんです。」
「そうなの?」
さすがキャバ嬢。悪質な男のあしらい方を分かっている。
しかし、相手は執拗なストーカー。この手の男は女性に男の影が見えると、激昂する輩も中にはいるのだ。
「あんなこともこんなこともしちゃってるんですぅ。だから、私のことは諦めて?」
「あんなこともこんなこともそんなこともだとォ!?」
「いや、そんなことはしてないですよ。」
「いや、いいんだお妙さん。君がどんな人生を歩んでいようと、俺はありのままの君を受け止めるよ。」
「え?」
「君がケツ毛ごと俺を愛してくれたように」
「愛してねーよ」
(これがストーカーって言うんだ・・・)
雅は呆然と近藤を見つめた。雅にとって、近藤は初めて出会った人種である。悪質な輩とは思っていたが、ここまで酷いとは思わなかった。
「オイ!銀髪パーマ!お前がお妙さんの許嫁だろうと関係ない!お前なんかより、俺の方がお妙さんを愛している!!
俺と決闘しろ!!お妙さんをかけて!!!」
妙は後悔していた。許嫁がいると言えば諦めるだろう、と軽い気持ちでついた嘘で、まさかこんなことになってしまうとは。
「それにあの人、多分強い。決闘を前にあの落ち着きぶりは、何度も死線をくぐり抜けてきた証拠よ。」
「心配いらないヨ。銀ちゃんピンチの時は、私の傘が火を噴くネ。姉御。」
「殺さない程度にね。」
「まあ、銀時なら何とかなるでしょう。」
しかしその肝心の銀時が姿を現したのは、夕刻のことであった。
「来たか。遅すぎるぞ!大の方か!」
「ヒーローが大なんてするわけねーだろ。糖の方だ。」
(糖尿のヒーローか。格好つかないな)
「いいねェ。夕日だ。決闘は夕日に限るぜ。」
「フンッ、銀髪パーマの割には風流なことを言いやがる。」
「まあいい。じゃあ、そろそろ始めっか。」
「で?得物はどうするよ。真剣が使いたければ貸すぞ。お前の好きにしろ。」
「俺ァコイツで充分だ。このままやろうや。」
「ナメてんのか貴様は。」
「悪ィが、人の人生かけて勝負できるほど、大層な人間じゃあないんでね。代わりと言っちゃなんだが、俺の命をかけよう。」
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時