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「これで全員?」
奉行所の役人に捜査の協力をお願いされた面々が顔を見合わせる。
この辺りで店の売上が持ち逃げされる次元が多発しているらしい。しかも、今月に入って16件目だとか。
「犯人は天人らしいんだが、まだ捜査中でねェ。なんか気になる噂とかないかな」
「それなら知ってますよ。犯人はコイツです」
銀時が神楽に指を向ける。神楽は黙ってその指を掴むと、そのままぎゅっと握り締め、銀時の指の骨を折った。
「お、お前!なにさらしてくれとんじゃい!」
「冗談がつまらない人は指を折られるアル」
「俺がせっかくタダで故郷へ帰れる方法を教えてやろうと思ったのに。」
「いや、強制送還はタダでは無いよ」
「まったくアル!そんな不名誉な帰国、御免こうむるアル!」
「そもそも神楽が犯人ならターゲットはご飯でしょ。お金にがめつい子には見えないし」
どうやら神楽は地球行きの船にしがみついてきたらしい。だからお金は無くても故郷に帰る手段はある、と。
「って!それ不法入国だから!!」
「大丈夫。宇宙に放り出しても平気で生きられるから」
「ゴキブリじゃないネ!」
「なんだァ!?その言い方は!ゴキブリさんに謝れ!」
「ったく、いくら頑丈だって言ってもまだ14の子供だよ!大人気ないんだから」
雅が銀時と神楽の争いに口を挟む。新八ももはや呆れ顔だ。
そんな諍いを他所に、お登勢が盗られるような大金も盗るような悪人もいない、と役人を諭して帰らせた事で、この騒ぎ収まったのであった。
「あれ?残業?」
銀時がスナックお登勢の戸をガラガラと開ければ、ちょうど出ようとしていたキャサリンと鉢合わせた。
しかし当のキャサリンの服装は黒ずくめで、両手で箱を抱えており、明らかに様子がおかしい。
「銀時何してるの?」
するとちょうどそこへ買い物袋を提げた雅が通りかかって、銀時に声をかけた。
雅は新八がご飯を食べれず可哀想だ、とご飯の材料を買って来ていたのだった。
そしてまたそこへお腹を空かせた新八がやって来た。実の所新八は、銀時と雅が恋人なのではないかと疑っていた。
時々2人で飲みに出かけて、翌朝一緒に出勤したり、雅が万事屋に泊まることもあった。
それに新八は何となく2人から壁を作られているように感じていた。しかし当の2人の間には、そんなものは無いように思うのだ。
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時