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「新八、醤油買ってこい。今日の晩ごはんはタコの刺身だ。」
「させるかァァァ!」
キメ顔で走り出した銀時がタコに近づく前に転倒した。長谷川が足を伸ばして転ばせたのだ。
「いだだだだだ!何しやがんだ!脳みそ出てない?コレ」
「大丈夫、銀時。もともと出てるから」
「手ェ出しちゃダメだ!無傷で捕まえろって皇子に言われてんだ!!」
「無傷?できるかァそんなん!」
「それを何とかしてもらおうとアンタ達呼んだの!」
「無理に決まってるでしょう!!何か大きい檻みたいな・・・」
雅がそう言いかけた時、新八の悲鳴があがった。
振り返って見てみれば新八がタコに捕まっていたのだ。
「新八!!」
銀時と雅が走り出した。しかし長谷川が銀時の後頭部に銃口を押し当てたことで、その足はとまった。
どうやら長谷川は初めから多少の犠牲は仕方ないと考えていたらしい。そうでもしなければあのバカ皇子は納得しないだろう、と。
だがしかし。国や幕府なんぞの為に手も足も出さずに新八を失うなんて、それこそバカでは無いか。
いつの間にやら背後に回っていた雅が長谷川の持っていた銃を落とすと、再び2人は走り出した。
雅は皇子が日除けに使っていた傘を拾うと、銀時へ襲いかかる足を薙ぎ倒し、新八の元へ向かわせた。
「幕府が滅ぼうが国が滅ぼうが、関係ないもんね!!俺は
銀時の木刀がタコの腹を切り裂く。少しの静寂の後、血の雨が降り注いだ。
長谷川とハタ皇子が何やらごたついている間、万事屋一行には穏やかな時間が流れていた。
「よく頑張ったね、新八」
「!・・・今、新八って」
「もう万事屋に来て半月も経ったし、君付けは少し他人行儀かなって。嫌だった?」
「いえ、そんな!むしろ嬉しいです!」
「オイ。そんなんで顔赤くしてんじゃねーぞ童貞。俺なんかとっくの昔から呼び捨てだったから。」
「どこで張り合ってるの?大人気ないね、坂田さん」
帰路につこうと足を進めるが、銀時の足取りは重たい。どうやら雅の「坂田さん」呼びにショックを受けたらしかった。
その頃長谷川は、ハタ皇子を殴り飛ばして清々しい顔で煙草を吸っていた。
「あ〜あ!!いいのかな〜んなことして〜」
「しるかバカタレ。ここは侍の国だ。好き勝手させるかってんだ」
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時