浮世は風【銀魂】 (ページ11)

今日:36 hit、昨日:10 hit、合計:1,137 hit

11 ページ11

*

*

*

「新ちゃん、雅ちゃん、いいの？あの人･･･いくらなんでも多すぎよ敵が」

「お妙ちゃん、心配しないで。ああ見えて腕は立つもの」

「そうですよ姉上！それにきっとアイツは戻ってくる！だってアイツの中にはある気がするんだ。父上が言ってたあの･･･」

後方からすごい数の足音が聞こえて、新八は言葉を止めた。何事かと振り返れば、大量の追っ手の先陣をきって走る銀時の姿が。

「あ゛あ゛あ゛あ゛！！」

「ホントに戻ってきた！キツかったんだ！思ったよりキツかったんだ！！」

「あんなにいっぱい引き連れて何してんの！！」

「いいから脱出ポッド探せ！！そこは！？」

行き当たったひとつの扉を開ける。中に入ってみれば明らかに触ってはいけなさそうな機会がドンと設置してあった。

「行き止まりや。追いかけっこはしまいやでェ」

どうやらこれ以上は逃げられないらしい。ジリジリと距離を詰める天人に、私達も少しずつ後ずさった。

「おたくらに護れるもんなんてもうなんもないで。この国も･･･空もわしら天人のもんやさかい」

「国だ空だァ？くれてやるよ、んなもん。こちとら目の前のもん護るのに手一杯だ。それでさえ護りきれずによォ、今まで幾つ取り零してきたか知れねェ。

俺にはもうなんもねーがよォ、せめて目の前で落ちてるものがあったら拾ってやりてェのさ」

やはり、彼は彼のままだった。自堕落な生活を送るようになっても、その本質だけは変わらなかったらしい。

「しみったれた武士道やの〜もうお前はエエわ･･･去ねや」

天人が銃口の照準を銀時へ合わせた。しかし、慌てた様子で1人がその手を止めた。

「ちょっ、あきまへんて社長！アレに弾当たったらどないするんですか！舟もろともおっ死にますよ！！」

「ア･･･アカン忘れとった」

「って･･･登っちゃってるよアイツ！！おいィィ！」

「ちょ、待ちィィ！！アカンでそれ、船の心臓･･･」

「へェ、いいこと聞いたなぁ」

雅は天人の手から拳銃を奪うと社長と呼ばれた天人の頭に銃口を押し当てた。

「ちょ、ホンマにアカンて！！なにしとん･･･」

「いいから、黙って見てな」

「客の大事なもんは俺の大事なもんでもある。そいつを護るためなら俺ぁなんでもやるぜ！！」

銀時は木刀を抜くと、思い切り船の心臓に向かって振り下ろした。