人間なのに、首を切られた

11.最後の好奇心 ページ11

*




「…何を、している。」


その人の声が部屋に冷たく響く。



体に力が入る。




A「き、られるのを、待っています。」



「何故、お前を斬ると。」




この人はまだ、気付いていないのか


気付かないふりをしているのかは、分からなかった。



言ってしまえば、もう…





赤みがかった髪の優しい人



黄色い日の光のような髪のさわがしい人



蝶のような衣のお礼を言ってくれた人





そして、ゆうやさんにも、








でも、いつかは気付かれる。



A「私が、鬼だからです。」



部屋に明るく差し込んでいた光が少し暗くなる。


太陽に雲がかかったのだろう。



再び明るくなるまで、その人は何も言わなかった。




「そうか。」



その声には、暗い感情は無いように聞こえた。


その人はそれだけ言うと部屋を出て行った。





あの刀で斬られるのかと思っていたのに



違う刀で斬るのだろうか。





待っていても、その人は戻って来なかった。





こんな風に何日も寝ているのは初めてで、


もう眠たくなかった。




…外に出ても、良いのだろうか。





どうしたって逃げられるわけがない



じゃあ最後ぐらい外の世界を見てみたい




そんな気持ちが湧いてくる。





着物を被って、そっと戸を開ける。







「目が覚めたのですね。」


*

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