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クロノ「……誰なんですかい、その写真」
私は目の前にいる黒髪の地味な顔をした少女に話しかける。
正確に言うと、その時彼女のことは見ておらず、彼女の背後にある部屋の壁を埋め尽くす勢いで貼られている写真を見ていたのだが。
目で確認できる範囲だけでも、軽く100枚はありそうだ。どうやらテープで止めているらしい。
そして大量の写真に写る男は同一人物のようだった。
『…そんな怖がらないでくださいよ。好きで貼ってるわけじゃないんですから』
薄く笑みを浮かべながら、まるでからかうように言ってくる。
その冷めきった視線に、正直ゾッとした。
どこまで辛い思いをすれば、ここまで"何もない"目をできるようになれるのだろうか。
まだ高校生だというのに。
『こいつは、私の親と幼なじみを殺したヒーローです。…世間には公表されず揉み消され、塀の中へ入っていきましたが、私はずっと忘れない。お父さんとお母さんを殺したのは敵じゃない。このヒーローだ』
くるりと後ろを振り向き、壁の写真の一枚にそっと触れ、彼女……Aは吐き出すようにそう放った。
クロノ「嫌いなら、何を目的に写真を貼ったんです？」
『嫌いだからこそ、貼る。
沢山写真を撮って、保存して、印刷して、貼って。
そうして飽きる程毎日この顔を見れば、
いつかは平穏を理不尽に奪われた怒りや、この男への憎悪も忘れられると思った。
けど無理だった。
虚しくなるだけだった。
結局何も忘れられなかったし、何かを得ることもなかった』
我ながら馬鹿でした。
そう笑う彼女の目は、やっぱり何も写さない。
写真の男も、目の前にいる私も。
自分を含めたその場に存在する全てに対する無関心が、ただただそこにあった。
冷や汗が頬を伝う。マスクをつけていて本当に良かった。
親と幼なじみが殺された、という事実だけで心が揺らぐような情は持ち合わせていない。
しかし大切な人を失い、しかし復讐はせず、ただただ憎悪をその心に抱え生きてきたAが、哀れで。
私はAに手を伸ばした。
『っ！』
気づいたら、私の手はAの頭の上にあって……そのまま手を左右に動かした。
___人の頭を撫でたのなんて、初めてかもしれないな。
クロノ「これからは、辛いことがあったら私に言うんですよ」
何故私はこの娘に優しい言葉をかけたのだろうか。
無関心のような、嬉しさを含んだような、潤んだような、鬱陶しさが滲み出ているような、
そんな彼女の瞳を、私は一生忘れないだろう。
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ANA - 推しが!!!尊い!!////更新楽しみにしてます！頑張ってください！Ｏ(≧∇≦)Ｏ (2019年8月20日 17時) (
レス) id: ed74a5df95 (このIDを非表示/違反報告)
零 - とても素敵ですね！！クロノさんと治崎さんの優しさが目にしみます。ゼロさんのお話、とても面白いので、お忙しいとは思いますが、良かったら、更新お願いします。続きを読める事を楽しみにして待ってます。 (2019年4月29日 9時) (レス) id: 2fa8d71e18 (このIDを非表示/違反報告)
ねじる - ゼロさん» 今更ですが、私もクロノ好きですよ！あ、トウヤ君も！同率１位で好き、、、 (2018年11月18日 20時) (レス) id: b17a466711 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫 - おおおおお推しが！推しがああああああああああああああ！！！なんて面白い小説なんだ…更新頑張ってください！ (2018年10月10日 7時) (レス) id: c7686fef14 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - オーバーホールが大好きで！！！！ほんとうにありがとうございますorz！！！ (2018年9月29日 18時) (レス) id: b2c40a5e33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゼロ | 作成日時：2018年4月10日 21時
