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オバホ「………」
『……………ドッドッドッ』
ヤヴァイ、さっきから心音がヤヴァイ。
部屋に入って1分たったが、オーバーホールさんは何も言わないまま部屋を見渡している。
せめて何か言って。
私はそろ〜っと後ろに下がり、洗面所に行って棚の引き出しからヘアゴムとピンを大量にケースに詰めた。
気まずすぎるんだよ。
……よし、これでエリちゃんの髪をいろいろできるな。実に楽しみだ。
オバホ「随分な執着心だな」
未だ振り向かないままオーバーホールさんは言った。
『え、ああ、その男ですか。まぁ大事なもの根こそぎ奪っていった奴ですから』
オバホ「……お前は、復讐しようとは考えなかったのか」
『………復讐の術がなかった。私はあの日も今もずっとガキのままだし、そもそもその時は悲しみと喪失感しかなかった。恨むっていう感情が出てきたのは、もっと後のことです』
オバホ「なら、お前が復讐できる環境下にいたら、あるいは復讐していたのか」
『どうでしょう。
あー…やっぱりしなかったんじゃないかな。
人の人生壊しても良いこと何にもないし、気分も悪いし。それに復讐なんて、自分の中で憎悪溜め込むよりもずっと虚しいことだと、頭のどこかで分かってたので』
そこまで言って私はピタリと息を止める。
オーバーホールさんがゆっくりとこちらを振り向き、その瞳に私を写した。
『あとまぁ、単純に復讐する勇気がなかった。ガキですから』
オバホ「……ガキの持つ考えじゃないな」
そう言ってふっと笑ったオーバーホールさんは本当に綺麗でした。
・
6時頃、私たちは死穢八齋會の屋敷に帰ってきた。
『…お邪魔します』
オバホ「………
A、家に帰ってきた時は"ただいま"、だ」
『!!』
先に靴を脱いで玄関に立つオーバーホールさんは腕を組み、私を柔らかく見下ろす。
オバホ「ここは、
お前の家だ」
『……』
やばい、ちょっと泣きそう。
まさかまた「ただいま」を言えるなんて。それを許可されるなんて、思ってもなかった。
『…ただいま』
オバホ「おかえり」
マスクの下で薄く笑みを浮かべているのであろうオーバーホールさんの瞳はどこまでも優しかった。
・
クロノ「……A、アンタオーバーホールに何したんですかい」
『何が』
クロノ「あんな優しげな…まるで愛娘を見るようなオーバーホールは見たことありやせん。白状してくだせぇ。オーバーホールに何したんですか」
『銃構えるのやめようか』
私だってわからんわ。
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ANA - 推しが!!!尊い!!////更新楽しみにしてます!頑張ってください!O(≧∇≦)O (2019年8月20日 17時) (レス) id: ed74a5df95 (このIDを非表示/違反報告)
零 - とても素敵ですね!!クロノさんと治崎さんの優しさが目にしみます。ゼロさんのお話、とても面白いので、お忙しいとは思いますが、良かったら、更新お願いします。続きを読める事を楽しみにして待ってます。 (2019年4月29日 9時) (レス) id: 2fa8d71e18 (このIDを非表示/違反報告)
ねじる - ゼロさん» 今更ですが、私もクロノ好きですよ!あ、トウヤ君も!同率1位で好き、、、 (2018年11月18日 20時) (レス) id: b17a466711 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫 - おおおおお推しが!推しがああああああああああああああ!!!なんて面白い小説なんだ…更新頑張ってください! (2018年10月10日 7時) (レス) id: c7686fef14 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - オーバーホールが大好きで!!!!ほんとうにありがとうございますorz!!! (2018年9月29日 18時) (レス) id: b2c40a5e33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゼロ | 作成日時:2018年4月10日 21時