2 星の無い夜 ページ4
「昨日人を殺したんだ。」
Aは確かにそう言った。
は?いや、え?
「いやA落ち着きなせェ。今日はエイプリルフールじゃねェですぜィ。」
「嘘なんかじゃないよ。」
苦しそうな声色で告げたAの真っ赤になった目は嘘をついているようには見えなくて。
「とりあえず入りなせェ。そんな濡れてちゃ風邪ひいちまう。」
こくん。と頷いたAはなんだかひどく小さく見えた。
とりあえず部屋に通し、タオルとホットミルクを渡す。
「総悟が飲み物出すなんて珍しい。明日は雨でも降るの?」
「うるせェ。つーかここ最近は毎日雨でィ。」
そうだったね。と笑う彼女は震えていた。
寒さからなのか、人を殺めたという恐怖からなのか。
どっちもなんだろうな、と思いながらAが事の顛末を話し始めるのを待つ。
外は雨が降っていた。
小雨だったのがいつの間にか風を伴い、強くなってきていた。
雨が窓ガラスに打ち付けられると同時、彼女は話し始めた。
幼い頃からの癖は変わっておらず、泣いているのに微笑みを浮かべて。
手をぎゅっと握りしめて。
星が無い夜よりも静かに話し始めた。
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まめ(プロフ) - ゆらゆらさん» わぁぁぁ!ありがとうございます!凄く嬉しいです! ゆっくりですがこれからも頑張りますので読んでいただけると嬉しいです!! (2020年8月4日 17時) (レス) id: 857664c7be (このIDを非表示/違反報告)
ゆらゆら - 関連作品の欄でタイトルがとても魅力的で 読み進めていくとどんどん物語の中に引き込まれていっちゃいました(笑) まめ様の投稿 とても楽しみに待っております(*^^*) (2020年7月19日 21時) (レス) id: 19ca8d39db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめ | 作成日時:2020年6月24日 21時