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________…
「睡眠不足、
不眠症、
…なんて言えば、聞こえは良いんだけどね」
薬品の匂いが漂う医務室で、足を組むぺ神と向き合って座る俺は、彼の言葉に思わず眉間に皺を寄せる。
Aが、あの日の晩はぐらかした"病気"が、それらよりも遥かに重度のものであると、ぺ神の言葉は暗に俺に告げていた。
「…それほど、症状が重いのか。
"大したことない"
"精神病の一環だ"
と、彼女は言っていたが。
だがお前は、基本的に一般人の相手はしないだろう。そのお前が担当を持つということは、Aは…それ程までに苦しんでいるのか…？」
「…うん、グルさんの言う通り、俺は一般人の病人の相手はしない。でもAは、確かに俺の患者だよ。どうもその辺の医者が処方する睡眠薬は、彼女の身体と合わないみたいでね。
面倒な診察をする訳でもないしってことで、特別に自作の物を彼女に売ってるんだ。
…それに、彼女が言う"精神病の一環"っていうのはあながち間違いじゃない。精神に負担がかかっていない人が、眠れないなんてある訳がない」
寝れないんだ、とぺ神は言う。
「______Aはね、眠れないんだ。
不眠症と言えど、普通はある程度の眠気を感じたり、夜決まった時間に眠れないってだけで、不定期な睡眠は取れるって人が大半だ。でも彼女は違う。
…最長で8日間、彼女は眠気を感じなかったらしい。これ以上眠らなければ自分は死んでしまうと、あの子は恐怖を感じて俺の元に来た。
慢性的な入眠障害。しかも他に例を見ないくらいに重度な症状。
それが彼女の言う"病気"に他ならないのは確かだよ」
あらかた伝え終わったという風に冷めたコーヒーを啜るぺ神を見て、
…俺は、記憶の中の彼女の瞳の下に浮かぶ黒ずんだそれが、化粧の類いではなく隈であるということに、ようやく気が付いたのだった。
・
『…構わないで下さい、とでも言っておきましょうか。不眠については、私はもうとっくの昔に諦めてるんですよ。
ぺ神さんの薬があれば私は眠れるんです。
生きていける。
完治は不可能だし、必要もない』
ソファーから立ち上がり、帰りますと一言告げ部屋の扉に向かった。
そんな私の手首を、誰かが掴んで
「駄目やで」
頭上から男の声が降ってきたかと思えば、逞しい腕に強く抱き締められる。動けない。
『…ゾムさん』
そこで私は"あること"に気付き、はっと辺りを見渡した。
いつの間にか幹部らは私を中心にそれぞれ出窓や扉の側に構えていた。
知らぬ間に形成されていたその異様な光景に、背筋が凍った。
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お月様 - 滅茶苦茶おもろかったです！待ってたけどようやく27話でロボロさんの所出た！続編おめでとうございます！ (2021年1月2日 17時) (
レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - 火ぃつけろ火ぃぃぃぃ！！！wwww腹筋バキバキになったんですけど腹筋返して（）神様お疲れ様です！ (2020年5月26日 21時) (レス) id: 274ac26baa (このIDを非表示/違反報告)
しゃち - 43の最初にある有限実行の“限”は“言”ではないでしょうか？勘違いでしたら申し訳ございません。ラットさんの作品大好きです！ (2020年4月16日 13時) (レス) id: 6540cc437a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - うますぎませんか！？画力をわけて！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2020年4月3日 23時) (レス) id: 5db7ec7919 (このIDを非表示/違反報告)
楓@卍教 - 絵も文もうまいだと…？神…？いや天才…？(錯乱)まじで好きです応援してます (2020年3月21日 15時) (レス) id: 84c734c3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年11月16日 21時
