天才59 ページ10
「Aちゃん、これ旨いで。中のホワイトチョコがたまらん」
『ほんとだ…すごいトロトロしてて美味しいでふ。そうだ、こっちの赤いのも美味しいですよ』
「んふふ、Aちゃん今噛んだやろ。かわええなぁ」
『噛んでないです。可愛くもないです』
ゾムさんと他愛ない会話を交わしながら、私は二個目のチョコレートに手を伸ばす。私とゾムさんは城の屋上にて、大先生様が街へ行ったお土産だというお菓子を休憩がてら食べていた。
「これお土産！甘いもの嫌いやなかったら食べて？」
そう言われて渡されたそれは、甘党の私にはとても嬉しいプレゼントで。
嬉しさのあまり、たまたま通りかかったゾムさんに大先生様からチョコをもらったことを報告してしまったほどだ。一緒に食べないませんかと言うと、なら景色がいいところで食べようと提案された。
勿論その景色が良いところというのは城の屋上で、私はここに来るまで前回同様３年分くらい寿命を削った。
そして現在に至る。
「Aちゃんてさー、俺らの中で"推し"おらへんの？」
ゾムさんが私の身体を後ろから包み込むようにして抱き締めてきた。動揺をなんとか隠し、うーんと唸る。
『そもそもここに来る前は政治自体に興味なかったから……急に推しと言われましても』
そう、昔の私は幹部の顔を覚えようともしなかった。たまたま街中で見る軍事放送とか、クラスの人たちが上げる名前が自然と頭に入ってきて、徐々に記憶していっただけ。
『でも…皆好きです。優しくて』
「じゃあ、特別好きな奴は？」
特別好きな人……そうだな…
大先生様はクズだから素直に好きと思えないし、コネシマ様は大先生様をしばいているイメージしかない。トントン様は好きっていうよりかは尊敬に近い。ぺ神様はヤバい人だし…
こうして考えてみると、総合的には「好き」でも色々印象があるんだなと痛感する。
『…ロボロ様とオスマン様とエミさん…あと、シャオちゃん』
「へ〜そうなんか」
アイツら後で殺そ。
そう小声で聞こえたのは多分気のせいだ。
「俺は？」
『え』
「俺は好きちゃうんか？」
彼のペリドットの瞳がじっと私の目を見つめた。何故かこっ恥ずかしくなって、ふいっとそっぽを見る。
『す、好きデス。トテモ』
「ほんまに？嘘ついとらん？」
『ついてませんよ』
「じゃあAちゃんからぎゅーしろ」
『……………は…？』
誘っているのであろう、ん、と両手を広げるゾムさん。その無垢な表情に私は戸惑う。
………これ、どうしたもんかな。
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暁 - あれ...grさんヤンデレ...？ (9月7日 17時) (
レス) @page38 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - マンちゃんの反応面白すぎる 天才90とか (2021年9月17日 22時) (レス) id: 194369b6a7 (このIDを非表示/違反報告)
かい - ラットさん、この小説大好きです！これからも無理をしないていどに頑張って下さい！これからも応援してます！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: caec64c12b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - Look What You Make Me Do 好きなんですが、どの辺りが似てる？んか気になります！ (2020年1月6日 2時) (レス) id: 83cb691048 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - しんぺい神さんが常識人に見えてくる…w (2019年6月6日 1時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年3月11日 0時
