天才96 ページ49
『え…！？』
私はその突然の出来事に思わず声を上げた。
ゾムさんは頭を下げたまま一向に顔を上げようとしない。
謝罪の理由が全く分からない。何なんだこれは。
『待っ、あの、とりあえず、顔上げてください』
彼がここまで頭を下げる理由は分からないが、とにかくこんな体勢ではバツが悪い。
すぐに顔を上げるよう促すが、しかし彼は腰を折ったまま力なく首を振る。
「Aちゃんが許してくれるまで顔上げれへん」
そう言って、ゾムさんはついに地面に片膝をついた。
『な、なんでゾムさんが謝るんですか…？』
「……が」
『え？』
よく聞き取れない。
私はゾムさんの正面にしゃがんで顔を近付ける。
彼はまた、小さく口を開いた。
「俺が…あん時そのままAちゃんをどっか連れてけば良かった……そうすればそんな痣作らんで良かったかもしれんのに…
俺の、……俺のせいや…」
『！』
…あぁ、そうか、彼は責任を感じているんだ。
自分のせいで私が怪我をしたと思い込んでしまっている。可哀想に。そんな考えに囚われてしまうなんて。
『…ゾムさん、私は貴方のせいだなんてこれっぽっちも思ってないんですよ』
「でも、」
『いや、普通に考えたって総統の人格が破綻してるのが100パー悪いじゃないですか。
あの人の頭があれほど沸いてると見抜けなかった私も愚かでしたし』
「え…？Aちゃんボロクソ言うやん…」
コネシマ様が震える声でそう言った。
身体をプルプルと小刻みに揺らすその様子を見るに、どうやら私を「おしとやかで心優しい女の子」とでも思っていたらしい。
イメージを壊すようで申し訳ないが、そこはもうどうしようもないので割り切ってほしい。
『許すも何も、ゾムさんは悪くないんですよ。
元気出してください。
貴方が落ち込んでると何というか…調子が狂います』
私が至極優しい口調を心掛けてそう伝えると、彼はようやく少しだけ顔を上げて、視線だけを此方に向けた。
「…俺のこと嫌いにならへん？」
『なりません』
「これからも守らせてくれるか？」
『頼りにしてますが、程々にしてくださいね』
「…………ん」
ゾムさんが私の肩を掴んで、そのままボスンと鎖骨辺りに顔を埋めた。
私はその女子も羨むようなサラサラの髪の毛にそっと触れ、よしよしと頭を撫でる。
「んふふwwwゾムあやされとるやんw」
と、ここでコネシマ様が野次を飛ばした。
ゾムさんが私の肩口からジロリとコネシマ様を睨む。
「…シッマ後で殺す」
……これはフォローできない。
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暁 - あれ...grさんヤンデレ...？ (9月7日 17時) (
レス) @page38 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - マンちゃんの反応面白すぎる 天才90とか (2021年9月17日 22時) (レス) id: 194369b6a7 (このIDを非表示/違反報告)
かい - ラットさん、この小説大好きです！これからも無理をしないていどに頑張って下さい！これからも応援してます！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: caec64c12b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - Look What You Make Me Do 好きなんですが、どの辺りが似てる？んか気になります！ (2020年1月6日 2時) (レス) id: 83cb691048 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - しんぺい神さんが常識人に見えてくる…w (2019年6月6日 1時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年3月11日 0時
