天才93 ページ46
私は部屋に戻って早速図書館に向かう準備をした。
『そうだ…これは置いていこう』
ポケットから貰った首輪を取り出す。
包帯を巻いてるから、暫くはつけないことになるだろうし。というか、つけたらぺ神様に怒られそうだ。
机に首輪を置いた私は、唐突に「それ」に気付く。
『え…？』
再び首輪を手に持ち、裏側に小さく彫刻された黄金色に輝く文字を見る。
そこには確かにこう書かれていた。
gruppen・fuhrer
『…またあの人は……』
回りくどいやり方をしやがって…いや、むしろ感謝すべきだろうか。確かに前面にデカデカと書かれたって困るだけだ。
独占欲というか…これはもはや所有欲だろう。
私は静かに溜め息を吐く。
……もう少し紳士的な態度でもとっていたなら、
ちょっとは好きになれただろうに。
『惜しいんだよな…』
それでも、総統のことを完全に嫌いになれない部分が私の中には確かにあった。それが何となく腑に落ちなくて、私は眉間に皺を寄せる。
モヤモヤした気分を振り払い、書類を抱え、私は今度こそ部屋を出た。
・
『最近、全然数学に取り組めてなくてちょっとストレス溜まってるんですよね…』
私がそうぼやくと、エミさんのクッキーを持つ手がピタリと止まった。
「スパイ探しに追われていますからね。Aさんも忙しいでしょう」
『司令官の肩書きが重いです…』
苦笑いを浮かべつつ、私は少しだけ探りを入れることにする。
『そういえば…スパイはまだ城内に？』
まるで何でもないことを聞くように。しかし私にとってその質問の意味はとても大きい。
彼はカップに口をつけ、私の瞳を覗きこんだ。
「そのようです。監視カメラにそれらしき姿が映ったという報告はありませんし、警報やブービートラップが起動された形跡も今のところありません。
他に何か目的があるのか、ほとぼりが冷めて警備が緩むのを待っているのか…」
『…』
私は思考を巡らす。
監視カメラ、か。
『監視カメラの映像をわざわざ切断した…うーん…』
「どうしました？」
『いや、書類が盗まれた時、確かに監視カメラは不調になったんですよね』
「えぇ」
『カメラなんていう所詮機械の目も騙せない程、その国の科学は発展してないのかなと思いまして』
「！
それは、」
『例えば偽の映像を流すとか、盗んだことさえ分からないほど巧妙にやることだって出来たはずだ。
光学的にしか物を見ることができない機械を誤魔化す技術でさえ、その国にはないんじゃないんでしょうか』
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暁 - あれ...grさんヤンデレ...？ (9月7日 17時) (
レス) @page38 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - マンちゃんの反応面白すぎる 天才90とか (2021年9月17日 22時) (レス) id: 194369b6a7 (このIDを非表示/違反報告)
かい - ラットさん、この小説大好きです！これからも無理をしないていどに頑張って下さい！これからも応援してます！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: caec64c12b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - Look What You Make Me Do 好きなんですが、どの辺りが似てる？んか気になります！ (2020年1月6日 2時) (レス) id: 83cb691048 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - しんぺい神さんが常識人に見えてくる…w (2019年6月6日 1時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年3月11日 0時
