天才92 ページ45
ｶﾞｼｬﾝ！
医務室に入りぺ神様がこちらを見た瞬間、彼は手に持っていた白いマグカップを床に落とした。勿論故意ではないだろうが。
「Aちゃん、その痣…どうした？」
どうやら私の怪我を見て動揺したらしい。
とにもかくにもカップの破片を掃除しようと言った私の提案を、「そんなん後で俺がやっとくから！」と簡単にはね除けられてしまった。
私はソファに座らされ、ぺ神様は棚から治療道具が詰まっているであろう鉄製の箱を手に戻ってきた。
「誰にやられたの？
これ、完全に指の形してるんだけど。
まさか、絞められた…？」
『そ…総統に……』
「…」
彼は暫く無言で湿布を切って私の首に貼る作業を繰り返していたが、突然立ち上がって部屋に設置されている内線電話の受話器を取った。
何やらボソボソと誰かと会話をしていたが、その中で小さく「拷問部屋」という単語が聞こえた気がするのは多分気のせいだ。
というか、精神衛生上そう考えていたほうが遥かに都合がいい。
彼は再び私の前にしゃがみこむ。
「謝って済むことじゃないけど…ごめんね内の馬鹿が……何というか、アレは本当に頭可笑しいからあんまり近寄らない方がいいと思う」
『絶対近寄りたくないけど来るんですよね…
向こうから』
「アイツほんともう殺すしかないな」
物騒な会話を交わしていると、彼は包帯を手にとって私の首に巻いた。恐らく湿布が剥がれないようにするためだろうが、好都合だ。
カチリと金具をつけて、彼は私の頭をよしよしと撫でる。
「ん、いいよ。湿布と包帯は定期的に貼り替えるから、治るまで１日1回医務室に寄ってね」
『…はい、ありがとうございました』
「いいんだよ。もしかしたらグルさんまた君に手ぇ出すかもしれないから、しばらく皆に守ってもらいな。んでまた襲ってきたら俺に言ってね？
んふふ…逆に襲ってやるから」
『わかりました』
私は丁寧に頭を下げて、医務室を出る。
あぁ早く部屋に戻って今日の分の書類を終わらせなければと、心底絶望的な気分となる。私は思わず溜め息を吐いた。
「…Aさん、もしよければこの後図書館に来ませんか？良い茶葉を頂いたんです。ご馳走しますよ」
そう言って、彼はいつも通りの穏和な笑顔を浮かべた。
『…！行きます！』
よし、今日は徹夜しよう。
エミさんとのお茶会より優先すべきことはない。私はそう心に決めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1414人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「軍パロ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁 - あれ...grさんヤンデレ...？ (9月7日 17時) (
レス) @page38 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - マンちゃんの反応面白すぎる 天才90とか (2021年9月17日 22時) (レス) id: 194369b6a7 (このIDを非表示/違反報告)
かい - ラットさん、この小説大好きです！これからも無理をしないていどに頑張って下さい！これからも応援してます！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: caec64c12b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - Look What You Make Me Do 好きなんですが、どの辺りが似てる？んか気になります！ (2020年1月6日 2時) (レス) id: 83cb691048 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - しんぺい神さんが常識人に見えてくる…w (2019年6月6日 1時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ラット
| 作成日時：2019年3月11日 0時
