天才86 ページ38
「Aちゃんどうなったかなぁ」
俺達は幹部たちが度々集う談話室のような部屋で、各々好きなことをしながら時間を潰していた。
コネシマのポツリと呟いたその一言で、彼らの手は一様に止まる。
「そういえば…もうとっくに制限時間も過ぎとるしなぁ。なんなら三時間くらいあいつらの姿まるっきり見えんし」
「いやぁ、でもグルさんやしなぁ」
「捕まったんじゃない…？」
「いや、でもAちゃんもAちゃんで結構やる子やんあれ」
「確かになぁ」
彼等は鬼ごっこの勝敗に興味津々な様子だ。
まぁそれはそうだろう。我々国総統と、そしてその総統さえも凌駕する頭脳の持ち主である天才少女の対決だ。
まぁ、頭脳戦でないことが非常に残念だが。
体力的に言えば…まぁ、グルさんが勝っただろうとは思うけど。
まぁでも、どっちにしろ彼女は自室に戻って仕事をしているだろうな。
そんなことを思いながら、再び俺はナイフの手入れに集中する。
勿論、俺がAちゃんをこっそり助け出したことは言わない。グルさんに知られたらヤバいことになるし。
ｶﾞﾁｬｯ
「…あれ？ここにもおらへんのか」
その時、エミさんが談話室に入ってきた。
大先生の吐く煙草の煙に顔をしかめながら、顔の前で煙を払うように手を振る。
「どうしたん？」
「いや、Aちゃんに書類渡したいんやけど、どこにもおらんのや。部屋にもおらんし」
………………は？
「エミさんそれどういうことや」
俺はナイフを机に置いて立ち上がる。
「え？いや、どういうことって………
だから、部屋にもここにもいないってなったらどこにいるんやろうなって。Aちゃん仕事する時は大体自室か図書館でするから」
俺達は顔を見合わせた。
________嫌な予感がした。
「あ、ゾム！！待てやどこ行くんや！」
コネシマのそんな声も無視して、窓から飛び降り、別棟へ急ぐ。
いるとしたら、総統室か____________
_______グルさんの部屋。
俺は何て迂闊だったのだろうか。
もしグルさんがゲームに勝利したとして、
果たして本来の目的だけで済ませるだろうか？
「いや、あり得んわ…………」
何らかの付加価値を彼女に求めていたとしても可笑しくない。いや、むしろその可能性の方が遥かに高い。
とにかく急がなければ。
「無事でいてくれやAちゃん…ｯ」
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暁 - あれ...grさんヤンデレ...？ (9月7日 17時) (
レス) @page38 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - マンちゃんの反応面白すぎる 天才90とか (2021年9月17日 22時) (レス) id: 194369b6a7 (このIDを非表示/違反報告)
かい - ラットさん、この小説大好きです！これからも無理をしないていどに頑張って下さい！これからも応援してます！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: caec64c12b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - Look What You Make Me Do 好きなんですが、どの辺りが似てる？んか気になります！ (2020年1月6日 2時) (レス) id: 83cb691048 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - しんぺい神さんが常識人に見えてくる…w (2019年6月6日 1時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年3月11日 0時
