【ポケモン】晴天の私、或いは霹靂の貴方【デンジ】 (ページ7)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:6,407 hit

6-出会いは正に霹靂ページ7

「舐めやがって！何で餓鬼の手持ちがこんな…！」

悔しげに表情を歪める彼等に向かって一歩踏み出す。

『15かそれ未満なんて失礼しちゃう。
まぁ成人でもないんだけど…私18歳よ』

『あとね』

ふん、と息巻いて、彼等の手持ちの敗北…つまり勝利を確信した私は顎を突き出す。

『______ギンガ団なんて初めて聞いた。勝手に名乗ってなさい、ゴロツキ共』

「何だと…！！」

その時だった。突如咆哮を上げたガブリアスに、びくりと肩が震える。

『何っガブリアス』

悲鳴じゃない。これは威嚇の声…でも、一体何に対して？

気付き、息を呑む。彼の視線は______私の背後。

『やば…！』

振り返るが早いが、強い力で両腕を腰の後ろに締め上げられる。無理な方向に関節が捻じ曲がり、骨折を免れる為にわざとバランスを崩すが、形勢逆転には遠く及ばない。更に肩に置かれた手に圧力がかかり、やむ無く膝を折って観念する。

…いつの間に忍び寄っていたのか、首を回して見れば、案の定あいつらの仲間の一人だ。

「散々コケにしてくれたじゃねーか、ただで済むと____」

本当に不味いかも知れない。

『っ』

ごめん皆、頑張って戦ってくれたのに______…

再来した恐怖に肩をすぼめて、下唇を噛んだ。

そんな折、私の鼓膜に触れたのは、

…_______「レントラー」

「かみなりのキバ」

『…っ？』

とても冷ややかで…水を張ったように静かな男の声だった。

この集団には似つかわしくない程に。

同刻、何処からか現れた大柄なレントラー_____私の手持ちのではない_____が電流を纏った牙を剥き出しにして、立派なたてがみを振り乱しながら此方へ向かってくる。

あぁ…きっとあの子もこのギンガ団とかいう奴等の手持ちで、あと何秒もしない内に、私はあの牙の餌食になるのだろう。覚悟も出来ないまま固く目を瞑り、顔を伏せた。

だが、数秒後、悲鳴を上げたのは私ではなかった。

絶叫…にもならないくぐもった音は、私を縛り付ける男の喉から発せられていた。きっと叫びたくとも喉と舌が痺れて動けないのだろう。…見れば、レントラーの牙は男の腹に沈んでいて。

血も出ないほど絶妙な、甘噛み程度の力加減。牙を媒介に電気を流しただけといった感じで、程なくして男は口から泡を吹き昏倒する。

「おい」

街を背にした為の逆光で分からなかったが、その人はもうすぐ近くまで来ていて、腰を折り、茫然自失の私の顔を覗き込んだ。

「大丈夫か、あんた。怪我は無いか？」

暗闇を裂く様に澄んだコバルトブルーの瞳は、私に一瞬の稲妻を連想させた。