【ポケモン】晴天の私、或いは霹靂の貴方【デンジ】 (ページ11)

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10-ポケモンジムページ11

『あの…デンジさん』

『さっき"内の施設"って言ってましたけど…』

「ん？うん」

『______此処って、ナギサジムですよね』

デンジさんの後ろを遠慮がちに着いて行った私の足は、ポケモンセンターに似た外観の、ブラウンの塗装が特徴的な建物前に着いた時、ぴたりと止まったのだった。
丸みを帯びたそれが彼の施設って…まさかこのジムのこと…？一体何の冗談？

『これって…』

_______デンジさんって何者？もしかして、ジムの関係者？

などと次から次へと現れる疑問について、灯りが漏れる窓をじっと見上げながら考え込む。

『は、入って良いんですか…？』

私が二の足を踏んでいる間に、デンジさんはさっさと自動ドアの前へ歩いて行って、振り向き様に言った。

「問題ない。ナギサジム現ジムリーダーの権限の下、

俺が君の宿泊を許可する。

…なんて、この時間はジムトレーナーもとっくに帰宅してるし、旅人一人泊めたって誰も咎めやしないから______」

じ、

『ジムリーダー！？』

・

_____まさか彼がこのナギサシティのジムリーダーだったなんて…

只の知り合いではない。今日危ない所を助けて貰った、彼は偶然の恩人なのだ。

『うぅ…』

それにしても…と、一人唸る。
さっきは本当に驚いて、素っ頓狂な声を出してしまって恥ずかしかった…変な娘だと思われていないと良いけど。

だってあんなにあっさり打ち明けられるものだから…

なんてグチグチと心の中で弁明をしつつ、頭をシャワーヘッドの真下に下げて、じっと立ち尽くして髪に水を通す。熱いシャワーで、まだ胸に燻る羞恥心を吹き飛ばす様に。

今日は本当に色々な事があったな…。

もう小さな子供でもない年齢で始めた旅だったけれど、旅の初日から変な人達に囲まれ、お陰で宿の予約を忘れて、それなりに怖い思いもして

そしてデンジさんに助けられ、彼は実はジムリーダーで…

______…まぁ、嫌な事や、損な出会いばかりで無かったのは、確か。

にしても、ジムの関係者でもないのに、善意で寝床やらシャワーやら借りるのは凄く居辛いというか…人の家に上がり込んでいるようで落ち着かない。

そんな思いもあり、時間短縮の為毛先の泡と水気を手で絞り、駆け足気味に私はシャワールームを出た。