理由 ページ6
「君からの”忘れ物”を、この僕手ずからさ。
さぁ、一体何のつもりであんな巫山戯た真似をしたのか、話してもらうよ。僕の矢に許可証なんか括り付けて渡した理由をさ」
『…リーバル様は、お優しい方なんですね』
正直、わざわざ返しに来てはくれないだろうと思う気持ちの方が強かった為、面食らってしまった。叙任式を終えてすぐ、彼は私を探したらしい。
馬鹿みたいな感想を呟いた私に向かって、リーバル様は鼻を鳴らす。
「他でもない僕自身が賊じゃないと判断を下した人間が、こんなくだらないことで侵入者として検問されるだなんて、僕の認識が甘いと誤解されかねないだろ。それだけの事さ」
ならば、私も正直に心の内を明かさなければならない。
『＿＿＿＿日頃より、あなた方は歌と弓に秀でた種族と聞き及んでおります。生まれ出でた頃より、洗礼された環境に身を置くリト族の美的感覚は、他の部族に類を見ないものだと私は思っておりますの』
続きを促す様にして、リーバル様は眉を僅かに動かす。
『ですから、ゼルダ姫様のご尊顔に施す化粧の技術を、リーバル様はどうお考えになるのか、知りたかったのです』
「たったそれだけの事の為に、暗に僕を呼び立てたという訳かい。僕が君に許可証を返しに行く事に賭けて」
『私は仕事熱心な人間なんですのよ、リーバル様』
私を逃すまいと壁へ追い詰めたリーバル様を、押し返す様にして顔を近付けた私の様子を見て、彼は瞠目し
根負けした様を表すが如く、溜息を吐くのであった。
「ハイリア人の化粧なんか知る由もないけど＿＿＿＿姫の瞼に塗られていた光沢は、下町の娘の様に下品ではなかったと思うよ」
『
「名前なんか知らないよ」
そっけない態度を取っているけれど、初対面の私の言葉を忘れずにいた実直な性格までは隠せていない。
『その光沢、私が星のかけらを削って加工した物なんですの。嬉しい』
出会い頭、命を狙われた事など忘れ、私は微笑みを浮かべるのだった。
「まったく、こんな恐れ知らずな娘がハイリア人にいるだなんて聞いてないよ」
『処罰は何なりと、リーバル様』
「この城でそんなことをする権利は僕に無いよ。君だって宮使いじゃないんだから、罰も何もないことは分かるだろ？」
彼の言葉を私は静かに肯定する。
「それに、淡い逢瀬紛いの約束をこの僕にけしかける、君の度胸を買って出たのは僕の方だからね」
『お気遣い感謝致します、リーバル様』
「当然だよねェ。…まぁ、今回限りは君の非礼を許してあげるよ」
「直向きな努力が出来る人間のこと、僕は嫌いじゃないんだ」
続く
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ラット(プロフ) - 0053さん» （あと挿絵集の方でもコメント嬉しかったです！ありがとうございました！） (2月11日 21時) (
レス) id: 8459a3e940 (このIDを非表示/違反報告)
ラット(プロフ) - 0053さん» 0053さんコメありがとうございます！1から100まで全部お褒めの言葉なの嬉しすぎて死んでしまうのですが😭😭😭ひたすらにありがとうございます…！！落ち着いたら更新再開しようと思ってるので、お待ち頂ければ幸いです〜！ (2月11日 21時) (レス) id: 8459a3e940 (このIDを非表示/違反報告)
0053(プロフ) - →こんな素敵で愛に溢れた作品に出会えてとても幸せです🫶😭❕大好きです🍒💌❕これからも更新応援しております‼︎⛅️🤍 (2月8日 17時) (レス) id: 18561c6666 (このIDを非表示/違反報告)
0053(プロフ) - 繊細で情景が目に浮かぶ文章…一目惚れするほど美しい挿絵…そして解釈一致なリーバルに魅力溢れる夢主さん…‼️もう全てが最高すぎます‼︎🙌☄️→ (2月8日 17時) (レス) @page6 id: 18561c6666 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2023年11月14日 19時
