執政補佐官殿 ページ5
「この者たちの聖なる資質を認め、我ら王の御前での叙任の儀を成す」
ハイラル城の本丸からふと、英傑の叙任式を執り仕切る厳かな声が聞こえた。
「式は滞りなく行われている様ですね」
『左様でございますね、インパ様』
「それにしてもA様、此度の英傑の叙任式で、貴女様が姫様に施された化粧＿＿＿＿
玉のように白い肌は触れずとも柔く、叡智の光を宿す瞳の元は際立ち、包み込む様な笑みを浮かべる唇の色は、華美過ぎず穏やかで＿＿＿＿いいえ、言葉を尽くしても足りません。
A様の技にはこのインパ、驚かされました」
流れる様な銀髪を頭の高い位置でひとつに纏めた、シーカー族の女性＿＿＿＿ハイラルの執政補佐官であるインパ様が、興奮気味に私へ賛辞の言葉を並べた。
ハイラル城の敷地内にて、今は式中ゆえ、私もインパ様も他の業務は発生しない。
年若い女性が2人集い、話が盛り上がらない訳が無かった。ことさら女性の必需品＿＿＿＿化粧の話題となれば。
「女中との小話や城下町で、ハイラル各地を旅する化粧師のお噂は耳にしておりましたが、実際に腕前を拝見し、改めて感動致しました」
『姫様の側に長くおられる執政補佐官殿に、そんな風にご評価頂けるなんて、この身に余る光栄ですわ。ありがとうございます、インパ様』
曇りなき彼女の言葉に私が心の底から笑みを浮かべると、私達の間には陽だまりの様に穏やかな空気が流れた。
インパ様___私が姫様のお顔に触れている時は警戒して、厳しい方だと思っていたけれど、話してみればこんなにも親しみが湧く。
だから人と話すのは楽しいのよね。
「A様はこの後も旅を続けられるのですか？」
『城下町に暫く宿を取っているんですの。国王が主催される夜会や政が重なるらしく、ゼルダ姫様から仕事を任されておりますので』
「…厄災への対抗のため、姫様は一層多忙になられます。
けれど、あんなにも姫様の表情を輝かせたA様の技術を、私は信じております故、何かあればいつでもお声がけ下さい」
立ち去るインパ様の背中を見つめながら、私は胸元で掌を握りしめ、嬉しさの余韻に浸り_____その瞬間であった。
「また会ったね」
私の視界に、今朝見かけた美しい紺色が映ったのは。
見上げれば心なしか険しい表情を浮かべたリーバル様が、私を壁へ追い込む様にして、此方へ踏み出した。
彼は私の名前が刻まれた通行許可証を摘んで、煽る様にヒラヒラと揺らしている。それを空中で離し、舞い落ちる紙面を、確かに受け取った。
「これは君のだろ。返しに来てあげたよ」
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ラット(プロフ) - 0053さん» （あと挿絵集の方でもコメント嬉しかったです！ありがとうございました！） (2月11日 21時) (
レス) id: 8459a3e940 (このIDを非表示/違反報告)
ラット(プロフ) - 0053さん» 0053さんコメありがとうございます！1から100まで全部お褒めの言葉なの嬉しすぎて死んでしまうのですが😭😭😭ひたすらにありがとうございます…！！落ち着いたら更新再開しようと思ってるので、お待ち頂ければ幸いです〜！ (2月11日 21時) (レス) id: 8459a3e940 (このIDを非表示/違反報告)
0053(プロフ) - →こんな素敵で愛に溢れた作品に出会えてとても幸せです🫶😭❕大好きです🍒💌❕これからも更新応援しております‼︎⛅️🤍 (2月8日 17時) (レス) id: 18561c6666 (このIDを非表示/違反報告)
0053(プロフ) - 繊細で情景が目に浮かぶ文章…一目惚れするほど美しい挿絵…そして解釈一致なリーバルに魅力溢れる夢主さん…‼️もう全てが最高すぎます‼︎🙌☄️→ (2月8日 17時) (レス) @page6 id: 18561c6666 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2023年11月14日 19時
