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8□飛び方を忘れた鳥は ページ5

キュ、キュ、っとコートに響くシューズの擦れる音
その中心で舞う彼、そしてそれをただ眺めるだけの私
その姿に足がすくんだ。じわじわと疼く左足が気になって仕方ない。
…痛くはない。足は。痛いのは心だ。






「まささん!ナイス!」






彼のバックアタックはコートの中央に綺麗に落ちた
その彼にみんなが楽しそうに寄っていく。
将洋は満足そうに中心で笑ってた。

よし、じゃあ一旦休憩なー

その言葉に、みんながバラバラに散っていく
飲み物、ストレッチ、コーチたちにいまの試合の確認

その中でも彼は、私のところに一直線に来た。






「お疲れ様」

「ん、ありがと」





私が差し出したドリンクを飲む彼の額には汗が滲んでて、強化合宿のハードさが伺える。

私も本来ならそこにいるべきなんだけど、
半年前に怪我をしたせいで、ベンチが私の居場所になった。

それでも監督は私を全日本から外すことはしなくて、
男子、女子、それぞれの修正点を見つけてほしい
…何より早く戻ってきてほしい。
そう言われて、私はまだここにいる。

合同の強化合宿。
女子の練習は今日は休みで、私は男子のコートに来た。
もとより、隣に座る彼に来いと言われたのだけど。






「どうだった?」

「んー。ちょっと、ブロック遅れてるのは気になったけど、みんなでフォローしてるし良いんじゃないかな」

「あー、それは俺も気になった。了解」





そう言って、私の足元に座ってぐっと身体を伸ばす将洋
この背中がみんなを支えているんだと思うと心がきゅうっと掴まれた気分になる。
全日本のキャプテンとして、もちろん選手としても彼は立派にやり遂げてるのに
私は一体何をしてるんだろうか。









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noranekosan(プロフ) - リリさん» リリさんはじめまして。ありがとうございます!私もリリさんのお話読ませて頂いてたので嬉しいです。゚(っ゚´ω` ゚c)゚。今後も頑張って書いていくので、是非とも見ていってください!! (2019年11月12日 22時) (レス) id: e3a91e1b0b (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。のらねこさん(とお呼びしていいのでしょうか?)の書かれるお話どれも素敵なので、これからも楽しみにしています(*´˘`*) (2019年11月12日 16時) (レス) id: 3f90fe2b5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:as | 作成日時:2019年11月2日 2時

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