【ヒロアカ】お前…地味男じゃなかったのかよ……（震） (ページ24)

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____『死柄木さん、一芝居打つから付き合ってよ』

その言葉を放てば、死柄木さんの目は大きく開かれた。

「はぁ？芝居？」

俺たちは極小さな声で話をしていた。この会話をヒーローに聞かれるのはまずい。といっても、13号も相澤先生もまだ応戦中だが。

『完全に俺の都合なんだけど、ヴィランが何でヒーローを助けたんだってきっと皆思うからさ。それに俺たちは今こうして会話してるし。場合によっては俺は疑われる。

何を話していたんだ、何故あの時ヴィランは瓦礫から俺を助けたんだ、お前はヴィラン側の人間じゃないのか___って』

死柄木さんは黙って俺の話を聞いていたが、同意してくれているのは何となく分かる。

『その状況はあんまりよろしくない。だからさ、

……俺を人質にしてよ』

死柄木さんの目が細くなった。真意を見定めようとしているらしい。だが俺には今言ったこと以外の理由はない。

自分への容疑をかけさせないため、

そして、

"俺自身の手で死柄木さんを倒さなければならない、というこの危機的状況から死柄木さんを救うため。"

頼む、イエスと言ってくれ。

『俺に、アンタを倒させないで』

俺は微笑む。お願いだ、と。懇願する。

死柄木さんの口が開いた。

「…、別にいいけど」

………案外アッサリオーケーもらえたな。

「…明日、たけのこの里とパイの実５箱ずつ」

『しんど』

死柄木さんは小さく「立て」と命令してきた。死柄木さんを睨んだりと、それっぽい演技をしながら俺はゆっくり立ち上がる。

「…ちょっと痛いかもなぁ」

『？』

突如、フッと影が覆った。

上を見上げれば、脳ミソ剥き出しのやべぇ奴が俺をじっと見ている。

これ、…人間？

刹那、

『っっ！？！？』

俺は地面に叩きつけられた。

視線を動かせば、俺の右腕には脳ミソ野郎の大きな手がのしかかっている。

____俺の右手首と二の腕は、完全に潰されていた。

形容できない壮絶な痛みが俺を襲った。俺は唇を噛む。

____しかしもう、"慣れた"ことだった。

"ウチの子に何するの！！"

遠い日の母の声が蘇る。

"ごめんね…ごめんねA…母さんのせいでこんな個性を…こんな個性であんたはこんなことに……"

頭を掻き回すその声と、この痛みは皆よりも死柄木さん…ヴィランを、私情を優先させた罰なのだと。

俺は目を閉じた。