幼馴染みの特権【牛島若利】2

41 ページ3

「Aさん!!今日の試合観ました!!
キレッキレでしたね!!俺もあんなに綺麗なレシーブが出来るようになりたいです!!」




なに、なになになになに、何こいつ
え、前に俺がなんて言ったか覚えてないの?
初対面で失礼なこと言いまくったやつだよ???
馬鹿なの?


西谷夕はそんなこと考えてる俺のことに気付かない様子で平常運転なのか知らないがゲリラ豪雨かのようなテンションで俺に近づき話しかけてきた







「お前、どこの高校行ったの」




「烏野です!!この間試合終わりました!!」




「ああ、そう、負けたんだ」





そう言うと西谷夕は明らかに顔を曇らせた
いや、デリカシー無いことたしかに言ったけどそんなに落ち込む?え、そんなメンタル脆かった??




「俺、喧嘩しちゃったんスよ
この間の試合のあと、部活の先輩と」


急に語り出すから俺は黙って聞いてるしかなかった



「ブロックでスパイク全部止められて、あ、その人スパイカーなんですけど、それで自分のせいって責めてて、俺は違うって言ったらスパイクが決まらなきゃ勝てないって」





なんか、その先輩の気持ちわかんねえよ
俺はスパイカーじゃないし俺だったら西谷夕と同じこと言ってたな、気に入らないが







「でも、俺もいけなかったんです
ブロックのフォロー全然できなくて、なのに、あの先輩は1人で抱え込もうとして
俺はリベロです、守備の要でチームの要で、唯一攻撃ができないんです
今までAさんに憧れてきて頑張って練習してきたのに」






「西谷夕」








俺は話しをストップさせた

なんだよ、聞いていれば









「お前はかっけえな
腹立つぐらい」









口に出しちまったよ、


西谷夕は目を見開いていた









「な、だって、俺は」








「お前さ今『守備は要でチームの要』って言ったよな、かっけえなって思ったよ
俺は今まで若利のために綺麗なレシーブを練習してやっと手に入れた、チームにボールを繋げるためにリベロとして貢献してきた
最近になっちゃ若利とセットで見られて、月バリにも若利と写るようになって、チームには俺が必要だって、思われて」









「俺すっげえ自惚れしてんだ、
白鳥沢は1人1人のレベルが高い
だから試合に勝っても当たり前、そんなこと考えちゃうんだよ
でも、今の話し聞いてて、申し訳ない気がした
いや、別に同情したとかじゃなくて」

42→←40

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す