幼馴染みの特権【牛島若利】6

白鳥沢生徒の観察 ページ4

内山Aは部活にとても熱心だ

いや、熱心なのかわからないがとりあえず勝つために練習をしているだろう


何度も言うが白鳥沢は全体的に部活のレベルが高い、バレー部もその中の一つなのだ


もちろんバレーがうまいやつしかいないバレー部、その中でレギュラーとして選ばれるのもすごいのだ


俺は全くバレーのことに関してはルールすらも危ういくらい知識が無いのだが"自分のコートにボールを落とさない"というのだけはわかる



なんの部活にも入っていない俺からすれば只の玉遊びにしか思えないが彼がバレーをしている間の顔は本当に輝いていると思う









．









「あれ、まだ残ってたのかよ」









「…?内山くん」









教室の扉の前に内山Aが立っていた



部活終わりなのか少しの汗が頬にはまだ残っていて今の季節をもっと暑苦しくさせるものだった









「少し勉強したくてね」







「あー、テスト近いからな」








「内山くんは部活終わり?」








「いえす」








緩くガッツポーズをしてくる


身長のせいなのか中学生のような幼さがみえる


本人に言ったら物理的バレーボールにされそうだから言わないでおくが









「お前すげえ勉強頑張ってるよな、俺まったくしてねえや」









「は???」









驚いた、あれだけそれなりの成績を残しているくせに勉強をしていない??
嘘だろう、と思うが彼が嘘をつくとは思えなかった









「いいなあ、勉強してないのに成績良くて」








「いや、よくねえよ、普通」





少し俺の立場はずるいしな、と内山は呟いた





「ずるい??カンニングでもしてるの???」







「ば、してるわけねえだろアホ」







眉を顰める



俺は薄ら笑いを浮かべると内山は力んだ方を少し柔らかくする








「でも、本当に羨ましいよ
俺なんて勉強しかないから、部活にも入れないし親にも怒られちゃうんだよね」







「学年一位の親が厳しいって都市伝説じゃなかったんだな」








「ううん、この間のテストはギリギリ1位だったんだ怒られちゃったよ」








本当のことだ


期末テストで2位との差があまりなかった事で親に怒られてしまった


反抗するにも親の言っていることはあながち間違っていないのだ


反抗するにも反抗できない








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「負けるなよ、何があっても」





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内山はそれだけ言うと教室から消えていった





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