幼馴染みの特権【牛島若利】4 (ページ31)

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日向翔陽side

「国見!!」

国見のレシーブはウシワカそっくりだった
この間ウチヤマから教わったことを練習してきたお陰か安定した無駄のないレシーブを上げる

打ち返されたボールがコートのギリギリへ来る

あれ、

「国見、動かないんだ…」

フォロー!と黄金川が叫ぶがフォローをしたのは黒石だけだった

いや…ただできるだけ動きたくないだけなのか?
見事に見送ったな…

.

.

下へ降りると黄金川の声が体育館に響いた

「もっと気合い入れてやろうぜ!!今のは追うとこだろ!
せっかく普段できないメンバーなんだし、もっとガムシャラにやろうぜ!!」

その言葉を投げられた国見が顔を歪める
あの顔はひどい

そこへラッキョがやば、みたいな顔して二人の間に入る

「スマン、あいつやる時はやるからさ
おい国見!今のは追えよ!!」

「ハーイ」

ラッキョが注意して国見が返事をする

それで、終わる筈だった

.

「国見ィ、お前なァ、」

「ひっ」

ウチヤマが鬼の形相で国見に近寄る
確実な身長差があっても威圧感が半端なかった

「お前のプレーは燃費がいいってよく及川から聞いてたよ…でも、俺は」

.

「お前のバレー嫌いだ」

.

国見がその言葉に目を見開くと顔を横へ逸らす

自分のプレーを否定されたらそりゃ落ち込むか

するとウチヤマは国見の肩を叩いて

.

「でも、勝てるプレーなら文句はねえよ」

「勝ちゃいいんだ、楽しても」

.

.

「…俺アイツ苦手だ…」

黄金川が言う

相手はわかりきっていた

「国見か?」

「皆一生懸命やってんのに一人だけあんまヤル気無くねえ！？」

「でもあいつ、体力温存してて試合後半ひ本気出してくんのチョー厄介なんだぞ」

「?」

黄金川は分かっていないようだが俺達は一度経験して最悪なことになったからよくわかる
伊達工も経験しただろ、と思うがそれは黙っていた方がいいだろう

「まぁ拾えるボール追った方がいいよな」

「だろ??楽しようとしすぎだ!」

"楽"

ウチヤマはそのプレースタイルが嫌いだと言っていた
リベロとしては楽する時間など無いから普通に嫌なんだろう
ノヤっさんも嫌いそうだし

ウチヤマは国見からそれを見抜いて何を言いたかったんだろうか

俺はハッとする

「楽、か…!」