自粛生活の出来事

＊ ページ29

Aが帰ってこないならと

1人で食事する気にもなれなくて




やけ酒.......なんていつぶりだろう



薮と電話で話したりしたけれど


もやもやした気持ちは拭えなくて


1人酒を煽っていると


浮かんでくるのはAとした楽しい思い出ばかり


「俺、、こんなに好きなのに....」


まだ別れるなんて決まってないけれど


俺の頭の中はそのことばかり浮かんできて



気がついたら泣いていた＿＿＿



「....っ、ふっ.....」


離れたって付き合っていられるはず


だけど...きっとAは.....



別れを選択するだろう.....

俺のことを想ってくれているから故に


Aは人一倍、責任感が強くて
そんなところも惹かれた部分だから


酒も入って
止まらなくなった涙を拭っていると





バタン・・・ガチャ



玄関が閉まる音が聞こえた



(....やべぇ、感情が昂ってて耳が変になってる)


そんなことを思っていると


今度は別の部屋の扉が閉まる音がした


・・・Aが帰ってきた？


あ、


荷物取りにきただけか・・・


もはや悪い方にしか考えられなくなってる俺


女々しいな...


帰ってきても会話のない俺たちの末路なんて



ひとつしかないじゃん









＿＿コンコン


「....みつ？ただいま」

ドア越しにAの静かな声が聞こえてきた


その声だけでも胸がギュッてするってどんだけだよ


Aに応えないでいるともう一度Aの声が聞こえてきた

「みつ....いるよね？」


「...あぁ....おかえり」

思っていた以上に俺の声は震えてて

それ以上の言葉は正直出せなかった



見えなくてよかった....



ドア越しだからこそ、お互いの顔が見えないことが


今の俺にはありがたい




こんな泣いてる姿なんて見せらんねーよ、




「...みつ....あの、、こないだはごめんね」


Aがドアに近づいたのか
さっきよりもはっきりとした声が聞こえてきた


こないだ・・


たぶんそれは先週のパスタのこと


何も応えない俺にAは続けた


「本当は一緒に食べたかったけれど..自分が離れたところにいるファンだったらって思ったら.....なんか辛くて」


パスタを作ったことがたくさんSNSにも挙がっていた

それをみて楽しんでもらえたかな？とか
一緒に作って食べた気分味わってもらえたかな？って

思っていたと同時に


Aに言った言葉はファンが知ったらかなり傷つくよなって反省していた

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