彼女が悪夢を見ていた日 ページ22
隼「ただいま」
深夜に仕事が終わって帰ってきた。お姫様はもうすでに夢の中。彼女を僕がずりずりとここまで引きずってきて、一緒に寝かせていたことがもう懐かしいくらいだ。
隼「許してくれるかな?ただいまのキス…あれ?」
電気をつけたまま寝ていた彼女の唇にキスを落とそうとして気づいた。…泣いている?
隼「起きて!」
珍しく声を荒げてしまった。でも、彼女が見ている夢はきっと…よくないものだ。少し歪んだ寝顔からそれは安易に想像が出来た。肩を揺さぶってその悪夢から引き離そうとする。
隼「…どうした…の?」
彼女の優しい色の瞳が僕をしっかりと捉えてた。
『…隼…ゆ、め…?』
どこか哀しげで虚ろな瞳の彼女。僕はたまらなくなって彼女を僕の方に引き寄せた。
温かい体温が僕を包んで僕はそれにひどく安心した。か弱くて守らなくてはならない唯一の存在。
『しゅ…ん…っ、』
弱々しく彼女が僕の名前を呼ぶ。震える肩は、きっと彼女が涙を流しているから。それは夢のせい?
隼「…何か、怖い夢でも見たのかな?」
『…隼がいなくなる夢をみた』
どうしてそんな馬鹿げた夢をみてしまうのだろう。僕が君の前からいなくなることなんてないのに。
隼「…大丈夫。Aが嫌いにならない限り…僕はそばにいる。だから、安心してほしいな」
いつも彼女のことを好きすぎるのは僕の方で、それがきっと君の負担になってることも僕はわかってるんだ。だけど、いつまでもそばにいさせて。僕は君のことを愛してる。誰よりも。
僕だって夢をみる。君に愛想を尽かさせる夢だ。でも、その度に僕は君に縋るんだ。馬鹿みたいだと思うなら笑えばいい。誰かに笑われたって、誰かに何か言われたって…なんだって構わない。僕は君を離したくないんだ。
隼「僕もそんなに強くないからね。Aが僕から離れていく夢を見たりもする。その度に、離したくないって強く思うんだ。君を好きすぎるのは僕の方で、我儘なのはわかってる。でも、愛させて。後悔はさせないから」
とんでもなく甘い言葉が口から出て、いつもみたいにきっとドヤされるんだろうと思っていた。
『…馬鹿…っ!』
予想通りのツンがきて、そんな君だから僕は愛しいと思えるんだ。
隼「そんな馬鹿に惚れてしまったのは誰だったかな?」
少し意地悪してみても、君が僕に愛されていると実感してくれたらそれでいい。僕は君を愛してる。
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来栖陽香(プロフ) - サイコーです!年長さんファンになりました!始さんたちと隼たち関係性最高です!大好きです!これからも応援してます! (2018年4月30日 0時) (レス) id: 2a5ae7d310 (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 明けましておめでとうございます!この作品って続くんですか?楽しみに待ってます!これからも頑張ってください! (2017年1月2日 10時) (レス) id: 4dcfad7029 (このIDを非表示/違反報告)
あらたlove - あぁ、何回読んでも最高にかっこよくて…かっこよくて…ッ!!!なんかもうヤバイですね( ;∀;) カンドーシタ 続きを作って下さるなら、また私の幸せタイムが増えます(笑)いや、マジで← この作品すごく大好きです(*´∀`*) (2016年11月26日 10時) (レス) id: 3c6fe54d3b (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - melさん» 見守りましたよ!ハッピーエンド最高ですね!最後まで読めてわたしは幸せ者ですな!続き期待してます待ってます!! (2016年11月25日 16時) (レス) id: abec577e28 (このIDを非表示/違反報告)
nana×翡翠(プロフ) - 最高のハッピーエンドですね、、、隼くんの誕生日に、こんなにも素敵な文章を読むことが出来てとても嬉しいです笑 (2016年11月24日 23時) (レス) id: 360bf5730a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mel | 作成日時:2016年9月15日 17時