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○green side○

ひなちゃん急用で高槻の実家行ってくる
しょーた、運転手で連れてくし
今日は帰らんから、よろしく



遅く起きた日曜日。

ひなちゃんからのメッセージでスマホがチカチカしとった。
起こしてくれりゃええのに。

りょーかいって打とうとしたら、手の上でまた震えるスマホ。


ひなちゃん丸子、熱出して寝とる。
様子見たってな



「もしもし?ひなちゃん!丸ちゃんどしたん」

なんも考えずに電話したら、

「あー、最近疲れた顔しとったからなぁ。
知恵熱みたいなもんや。大したことないで」

なんて呑気な声。

「とりあえず、ゆっくり休ませてやり。
桃缶、冷えてるから。起きたら食べさせたって」


じゃ、って答える間もなくプツリと切れた。


あの夜からちゃんと顔合わせてない。
お互いなんとなく避けてる感じ。

だから丸ちゃんが体調崩してるなんて気づかなかった。


「…知恵熱、かぁ」


冷蔵庫から冷えた桃缶取り出して、ガラスの器に盛る。
熱が出た時の丸ちゃんは、なぜか桃缶を食べたがる。

デザートフォークで小さく切って
弱った丸ちゃんの口に運ぶのは、いつだって俺の仕事だから。


コップに麦茶注いで桃缶と一緒にトレーに乗せた。



「…丸ちゃん、入るで」


コンコン、と小さくノックしてドアを開ける。

「丸ちゃん?」

すぅすぅと寝息たてて寝てるから、そっとベッドに寄ると


きっちり毛布にくるまってるから、オデコにうっすら汗かいてる。


「子供みたいやな」


家族写真が並ぶ勉強机にトレーを置いて少し湿ったオデコに触れた。


「ちょっと熱い…な…貼るやつ持ってきたるか」


独り言のつもりやった…のに


丸ちゃんの手が伸びて、俺の腕を掴んだ。



「たぁく…ん」

「ん…?どした?」

「たぁくん…」

「冷やすん、持ってきたるから…な」

「…いらん」



熱い掌が俺の手を包んで、ほっぺたに導く。
丸ちゃんが甘えたい時は、いつも、そう。


「桃缶は?」

「…いらん」

「麦茶は?」

「…いらん」

「水分取らな、熱、下がらんよ?」

「…飲ませて」

「えっ」

掌にきゅ、っと力が入る。


潤んだ目。



「たぁくん…ちょうだい」



丸ちゃんの声は、熱い。

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さやか(プロフ) - はじめまして。いつもめろんぱんさんの作品を楽しく見させていただいております!!多くの作品にパスワードを付けていらっしゃると思うのですが、もうめろんぱんさんの作品は読むことができないのでしょうか、、、 (7月12日 16時) (レス) id: dd61441407 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - めろんぱんさん» なんやねーん。ズルないでぇ (2020年9月24日 19時) (レス) id: 89ed3d2d70 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - くぅう かよさんずるい (2020年9月24日 18時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - さやさん» こちらこそありがとうございますーー!!!! 双子の名前まで考えてました。楽しすぎました。みんな幸せでよかった。。。 ありがとうございます!!!!! (2020年9月24日 18時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 素敵なお話が出来てる……弟が居て双子まで…なんて幸せ!!そして私の大好きな画像をここまで広げてくださりお二人には感謝です!ありがとうございました(^^)みんな幸せ!! (2020年9月24日 16時) (レス) id: 806d5009ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めろんぱん/cayochi x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年8月9日 8時

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