おばちゃん ページ22
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真っ暗闇の中で、知らない人に行き先を任せて進むのは凄く恐ろしい事。
腰が引けながらも彼の引く腕に動向を任せて進んだ。
すると、腕を引いていた彼が急に止まり、私は彼にぶつかってしまった。
「…何しやがるんでィ」
「えっ、あっ、ごめんなさ___」
「Aちゃん!」
低く、地を這うような声が彼の方からした。
その声に牽制されたのは、私じゃなくて、私らの目の前を通せんぼしてると思われる人。
その声に、私は聞き覚えがあった。
「おばちゃん……?」
その声は、いつも良くしてくれる隣の家のおばさん。
間違いない。昨日も話をしてきたもの。
「あぁ……、なんて姿になっちまって」
おばちゃんの、心配するような声が、緊迫した私の心をなだめた。
(私がどんな目に遭っても、おばちゃんはおばちゃんのままだ。)
そう思った矢先だった。
「せっかく今まで良くしてあげたのにねぇ……。
それが罪人一家だなんて、どんな仕打ちだい」
「……え?」
信じたくなかった、"罪人一家"という言葉。
何より、信じていた人から発せられた言葉が私の心を傷つける。
もし、この言葉を放ったのが、他の人だったらここまで傷付かなかったと思う。
この人だから。心が痛い。冷たくなる。
「この子たちといると、こっちも恩恵が貰えたから一緒に居てやったのに」
「もうアンタらは用無しだね」
フフッ、と笑うおばちゃんの顔を、見れなくて良かったと思った。
少しでも、信じない気持ちがあったから。
「…行きやしょう」
腕を引かれ、おばちゃんの横をすり抜けた時だった。
「アンタも、処刑されりゃよかったのにね」
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よぞら(プロフ) - はじめまして!今更ながら、読ませていただきました!最後の最後で、実は、、という終わり方にすごくゾッとしました!素敵なお話をありがとうございました! (2022年9月8日 13時) (レス) @page40 id: ecb3bbe5b4 (このIDを非表示/違反報告)
まるち.(プロフ) - (^^)vさん» ありがとうございます! (2018年12月26日 1時) (レス) id: b503c86c9b (このIDを非表示/違反報告)
まるち.(プロフ) - みささん» ありがとうございます! そうですね、とうかがん、と読みます! 注釈をつけずにすみません;; (2018年12月26日 1時) (レス) id: b503c86c9b (このIDを非表示/違反報告)
(^^)v - 更新頑張って下さい。 (2018年12月25日 23時) (レス) id: 6fdf847faa (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 面白いです!応援してます!桃花眼ってなんて読むんですか?とうかがん? (2018年12月25日 21時) (レス) id: 817345b6d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるち. | 作成日時:2017年11月10日 20時