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『今度の土曜日の部活終わりオムライス食べに行かない?』
そんなメールが届いたのは送ってもらった日の夜だった。
てっきり学校終わりにでも行くのかと、なんなら本当に行くとは思っていなかった私は携帯の画面を見つめたまましばらく停止していた。
はっとして返信を打つ。
『よろしくお願いします』
シンプルすぎるかな、と思いつつ送信を押した。
そして考える。土曜日、休日。
…………何着ていく?
クローゼットを開けるとそこには地味な服ばかり。
さすがに土曜日に制服は着て行けないし。
寝るまでずっと悩み朝起きてもその悩みは解決しなかった。
学校に向かい歩きながら今日の放課後に服を見に行こうかと考える。
こんな時に一緒に選んでくれる女の子でも居たらいいのだけれど、残念ながら私にはそんな子がいなかった。
「はぁ…」
「ため息なんてついてどうしたの?」
「えっ、あ、松川くんおはよう」
「おはよう」
松川くんに相談するのはありかもしれない。
「あのね、えーと今度友達と出かけることになったんだけど着ていく服がなくて…」
「…友達ねぇ」
「今日の放課後に買いに行こうかなって思ってるんだけど、私ってどんな服が似合うかな…?」
「んー、よし、一緒に行こうか」
「え!?でも松川くん部活あるんじゃ?」
「今日は体育館使えないから急遽休みになったんだ」
「……じゃあお願いしてもいい?」
「ん、任せて」
松川くんはとても面倒見がいいのだろう。
こんな私にも良くしてくれてほんとうにいい人だ。
「ありがとう!」
「いーえ、放課後下駄箱に集合ね」
気がつけばもう学校に着いていた。
ヒラヒラと手を振って松川くんは自分の教室へと入って行く。
私も小さく手を振って教室に入ろうとすると目の前に人の気配があった。
「ご、ごめんなさ…って及川くん」
「おはようAちゃん」
「おはよう及川くん」
及川くんはじーっと私の顔を見ている。
「あの…?」
「まっつんと一緒に来たの?」
「あ、うん。来る途中に偶然会って」
「ふーん」
及川くんは何となく機嫌が悪そうに見える。
でも私はその理由がわからなかった。
「まぁいいや。Aちゃん今日の放課後暇?」
「今日はちょっと予定が、ごめんね」
「どんな予定?」
「え?えーとお母さんに頼まれごとされてて…」
さすがに松川くんと土曜日の服を見に行くなんて言えない私は咄嗟に嘘をついた。
「そっかぁ残念」
眉を下げる及川くんに心の中でごめんねと謝った。

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作者名:葉瑠 | 作成日時:2024年3月11日 0時

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