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泣きたくなかったけど、涙が出てきて止まらなくなって、ひたすら泣いた。何も話せない私を、てっちゃんも虫さんもとしくんもどうしたどうしたってたくさん心配してくれた。
撮影終わってるから、とりあえず帰ろうってりょうくんが家まで連れて帰ってくれた。車の中でもぐずぐず泣いて、りょうくんは何も言わずに頭を撫でてくれた。
キスされた唇が嫌すぎて、お風呂で全部洗って流して何も無かったことにしたかったけど、そんなことにはならなくて。思い出しては泣きたくなって。これ以上泣いてるところをりょうくんに見られたくなくて、自分の部屋へと逃げ込んだ。
「A、入るよ」
りょうくんの声がして、今さらどうにもならないけど涙を拭った。ベッドに座ってる私の隣にりょうくんが座る。
「何があったのか話せる?」
「……帰ろうと思ったら、腕掴まれて逃げられなくて、俺と付き合ってって言われて」
「うん」
「嫌ですって言ったら、急にされて」
関わらないでほしいって言ったこと。それでも諦めないって言われたこと。なんとなくりょうくんの顔見れなくて、下を向いたまま話した。
「A、こっち向いて」
「なんで」
「いいから。俺の方見て?」
顔を上げたら、目が合って、そのままりょうくんの顔が近付いてきて、反射的に目を閉じたら唇に何かが触れる感触がした。キスだ。りょうくんにキスされた。なんかもう頭の中ぐちゃぐちゃ。急に顔熱い。どうしよう。
「嫌だった?」
「…いやじゃなかった」
「なんで嫌じゃなかったの?」
だってそれはりょうくんのことが好きだからで、好きな人にされるキスが嫌なことなんてないわけで。ていうかりょうくんこそなんでキスとかするの。
「俺はAのことが好きだから、Aが他の男にキスされたのめちゃくちゃ嫌なの。だから上書き」
「上書き…好き…?」
「Aは?俺のこと好きだからキスされても嫌じゃなかったんじゃない」
「 わたしもりょうくんがすき、です」
「うん、知ってる」
そう言ったりょうくんから、もう一回キスが降ってきた。ちょっと色々吹っ飛ぶくらいにはどきどきしてる。はずかしい。ていうかりょうくん私のこと好きって言ったよね、そんなうれしいことあっていいのかなどうしよう
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花(プロフ) - ななさん» 温かいお言葉ありがとうございます!拙い文章ではありますが、続けて書いていけるように頑張りたいと思います! (2019年4月23日 23時) (レス) id: 20c6cc5c87 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 初めまして!素敵な読み物ありがとうございます(*'▽'*)これからも作者さんのペースで投稿待ってます…! (2019年4月22日 19時) (レス) id: 52db76b921 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花 | 作成日時:2019年4月13日 20時