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噺.4。 ページ5
「狡い、狡いよ。横光先生。」
ヨコハマのとあるビルの屋上に親指を咥えながら街を見下ろしている少女が一人。
咥えている親指からは血が流れていた。
「光に慣れるなんて、愛されてるなんて狡い。」
"＿＿＿＿＿そして、裏切り者を今でも慕ってるなんて"
暗闇に佇む彼女の瞳が紅く光る。
その瞳には憎悪が篭っていた。
「貴女には闇がお似合いよ。その異能も。」
咥えていた親指を放し瓦斯灯の下に取り残されているAを睨んだ。
Aは勿論気付いていない。
親指から流れ出る血液がポタポタと屋上に滴り落ちる。
「ここに居たの、帰るよ。」
そこへ一人の女が現れた。
「西條幹部。」
ポートマフィア幹部候補＿＿＿
マフィアで珍しい異能を所持していないにも関わらず高い地位を持つ女だ。
ヒールを鳴らして少女の方へ近付く。
「中野が呼んでる。行くよ。」
「西條幹部……。」
「横光さんに嫉妬するのは全てが終わってからにして頂戴。」
屋上の影が二つ、消え去った。
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