ジャージ系JKはトリップ先でゆるーく頑張る【名探偵コナン】

（４）死神との再会 ページ19

1回だけでいいから練習来てくれ、と言われて男バスに行った帰りのことだった。


『うわ、雨。』


人の少ない薄暗い廊下、靴箱に向かう途中ポツポツと降り出した空を窓から眺める。

天気予報見といてよかった、傘盗まれてませんよーにと祈りながら靴箱に向かう。


『お、セーフ。』

私の真っ黒い大きな傘をとり、正面玄関から出ようとした時だった。困ったように空を見上げる見慣れた後ろ姿を見つけた。


『部活終わったとこ？』

｢わ、びっくりした｣


驚いたように後ろを振り返った蘭が困ったように頷く。なーる、傘忘れましたってか。


(どーしようかしらねぇ)


さすがにこの状態でじゃーねっ！て言えるほど薄情じゃない。けども。



( 死神さんと会う可能性は下げたいよなぁ…)


家まで送るってなると、某死神に遭う羽目になるし……一回会ってるからこそ避けたい。


『傘使う？私走って帰るよ、ほらジャージだし。』


ほれ、と差し出すと蘭が凄い勢いで首を振った。遠慮すんな、と言っても受け取らない。雨が止むまで待つと。いやぁ、でもお天気おねーさん夜中まで降るとか言ってたよ？？

ワンピ世界にいた人たちと違すぎて、どうもやりにくいっていうか……いい子すぎるわぁ、ほんと。


……あーもー、しゃーない。


『送っていきますわよお嬢さん』

｢そんな、悪いよ！｣

『じゃー蘭に傘渡して私濡れて帰りますが。どうされます？？』


傘を開きながらニヤッと笑うと、蘭が困ったように笑って傘に入ってきた。


｢ごめんね、お願いします。｣

『いえいえドーゾ。』


送ったら即帰還！そう心を決めて2人で並んで歩き出した。

何気ない話をしながら雨の中歩く。あの先生はどうだー、とか、まあそんな話。

『…………ココ？』


まじ？君んちポアロ上やないですかいあっはっは大草原不可避まじ秒で帰りたい。


「うん。送ってくれてありがとう……ってうわ、A、肩濡れてる！」


蘭の眉がへにょりと下がる。

いやまー蘭の方に傘傾けてたからね。こっちはジャージ、そちらは制服。濡れたら臭くなるし中々洗えんもんな。


｢ちょっとうち寄っていって！タオルと何か温かい飲み物でも出すから！｣

『いやまじで大丈夫よ？？』


気持ちは嬉しいんだけど一刻も早く帰らしてくんね？？死神と会いたくねーんっすよ。……とは言えず、振り払うわけにもいかず、蘭に手を引っ張られて引き摺られる。


くっ、強引な子…！

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