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46 JN side ページ46
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静かに寝息を立て始めたA
頬を撫でる手を動かして
軽く開いている唇に触れた
形を確かめるようになぞると
さっきの言葉と涙が頭を過ぎる
「伝わってないの…？」
あいつと身体を重ねたことは何度もある
それに他の女とも
それでも、所詮は身代わりでしかないのに
「僕にはAだけ」
触れたいって思うのも
キスしたいって思うのも
全部Aだけ
「他はこんな気持ちにならない」
キスしたり
触れる度に返ってくる反応の1つ1つが嬉しくて
もっと夢中になってる顔が見たくて
もっと甘い声が聞きたくて
止まらなくなる
「余裕なんてない」
さっきも大丈夫なんて言いながら
本当は怖かった
やっと手に入れた
その喜びと同時に
不安が纏わり付いて離れない
あの時もそう
Aに触れている間、手が震えて仕方がなかった
そんな自分が情けなくて
隠すだけで精一杯なのに
「笑えるよね」
今まで何度も経験したのに
Aが相手だと途端に分からなくなる
男だからとかじゃない
Aが特別だから
「もう離してやれない」
触れるだけのキスを落として部屋を後にした
― 君だからキスしたい ―
．
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作者名：HEKi | 作成日時：2023年5月14日 23時
