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29 JN side ページ29
．
＜全治３週間だね
利き手だし不便だろうけど動かさないようにね＞
『ありがとうございます』
医師の診断は先生の言ったとおりだった
他はすり傷と打ち身程度でたいしたことはないんだけど
一体、何があったんだ
診察が終わって
衣服を整えてるAの背中を見つめる
SG「先に車に乗ってろ」
先生から車のキーを預かって
Aを気遣いながら駐車場へ向かう
後部座席に乗り込み
長い沈黙が続く
「なぁ、誰にやられた？」
『転んだんだって』
窓の外を見たまま答えるA
どう見たって転んだだけじゃないだろ
骨にヒビが入ってるんだぞ
病院に向かう途中にも聞いたけど
Aは転んだと言うだけ
誰が見ても故意にできた傷なのは明らかなのに
それを頑なに隠し通す
SG「待たせたな
じゃあ、行くか」
走り出した車
誰も口を開こうとしない中
右手に触れる何かに気付いた
窓の外に目を向けたまま右手を少し動かし
それを握り返した
SG「明日どうするんだ？」
「僕も休みます」
『ジナは行けって』
「嫌だよ」
『ジナ！』
SG「A、お前今親いないんだろ？
利き手も使えないんだからジナが居た方がいいだろ」
先生の一言でAが黙った
SG「担任には俺から言っとくから
こういうときくらい堂々と休んでろよ」
．
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作者名：HEKi | 作成日時：2023年5月14日 23時
