27 ページ27
．
ロッカーを閉め
壁に掛けてある時計に目をやれば
18時23分を示していた
着替えている部員たちに軽く挨拶をして
足早に部室を後にする
このまま買い物して帰らないと
空腹のお腹を擦りながらスマホを操作し
ジナの番号を探し出す
？「イ・A」
通話ボタンに指が掛かるのと同時に
後ろから呼び止められた
その声に振り返ると暗闇の中で怪しく光る物
それが自分に向けて振り下ろされるのが見えた
『ッ！？』
鈍い音とともに右手に痛みが走る
痛みに蹲る身体を両脇に差し込まれた腕に
無理やり起こされ
そのまま引き摺られるように体育館裏へと連れて行かれた
『ッて！！』
地面に放り投げられ
身体のあちこちに痛みが走る
それとは比べ物にならない右手の痛み
最悪…
多分折れてるな、これ
『誰だよ、俺に何の用だ』
暗闇に佇む人物に対して鋭い目線を向ける
？「イ・A
キム・ソクジンに助けてもらうか？」
『あ？ジナ？』
？「助けてもらうか？」
『なに、お前の目的はジナなの？』
？「どうなんだ」
顔を確認したかったけど
薄暗い中ではっきりとしない
唯一の手掛かりは
耳に届く声
？「答えろ」
『…ジナを頼るつもりはない』
？「そうか」
相手が一歩踏み出したかと思えば
風を切るような鋭い音が耳に届いた
痛ってぇ…
男が立ち去った後
痛みに思うようにならない身体をなんとか動かし
壁に凭れるようにして立ち上がる
ジナ…
頭に浮かんだ顔に溜め息が零れた
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HEKi | 作成日時：2023年5月14日 23時
