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16 JN side ページ16
．
『本当に先輩のこと好きじゃなかったのか？』
僕の気持ちを知らないAの素朴な疑問
『学年一の美人が彼女だって
自慢したかったとか言わないよな？』
Aにはその答えなんて一生分からない
だからそんなことが言えるんだ
学年一の美人なんて興味無い
単にあの時の自分の気持ちを紛らわすには
一番手っ取り早い相手だっただけ
首だけ動かしてAの様子を窺うと
本心を隠したままの答えに
やっぱり納得がいかなかったようで
もうどうでもいいというように
床に寝転んで目を閉じていた
もう誰のものでもないAが
今、目の前に居る
その事実が
身体の奥底に隠し続けた感情を
呼び起こすのは簡単だった
頭で考えるよりも身体が反応した
ベッドから立ち上がり
床に寝転がっているAにそっと覆い被さる
それでもAが動かないから
本気で寝てるのかと思って
さらに顔を近づけたら
ふいに目を開けた
『うわっ！？何だよっ』
あまりにも近くにあった僕の顔に
驚いた様子のAは
目をぱちぱちさせて見つめてくる
そんなAを見てたら
ある言葉を思い出した
？「思ってること全部ぶつけてみろよ
フラれる可能性もなくはないが
それこそぶつけないままでいたら可能性なんてゼロだろ」
その瞬間、何かが弾けた
．
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作者名：HEKi | 作成日時：2023年5月14日 23時
